埼玉新聞

 

養蚕業、新たな形に…引退農家の桑の葉を活用、バスジェルや桑茶に 皆野の新たな特産品目指す

  • 3月下旬から正式販売予定のオーガニックバスジェルを紹介する長谷川玲さん=埼玉県皆野町のMahora稲穂山

    3月下旬から正式販売予定のオーガニックバスジェルを紹介する長谷川玲さん=埼玉県皆野町のMahora稲穂山

  • 3月下旬から正式販売予定のオーガニックバスジェルを紹介する長谷川玲さん=埼玉県皆野町のMahora稲穂山

 埼玉県皆野町で収穫された桑、スギ、ヒノキのエキスを使用したバスジェル「Re;nneオーガニックバスジェル」の販売が、3月下旬から自然公園「Mahora稲穂山」(同町皆野)などで始まる。同園従業員の長谷川玲さんが、農家から提供を受けた桑の葉を有効活用し、町の新たな特産品開発に挑戦。長谷川さんは「地域資源を生かした商品づくりで、町の未来を明るくしたい」と意気込む。

 同園では2022年度から国の交付金を活用し、特産品開発などの事業に取り組んでいる。かつて秩父地域で盛んだった養蚕業に着目し、農家で活用されなくなった桑の葉を回収。町や民間企業と連携しながら、持続可能なものづくりを進めている。

 長谷川さんは「養蚕農家に直接携わるのは難しいが、秩父地域にしかない貴重な資源を後世に残すため、何か自分たちでできることはないかと考え、行動を始めた」と説明する。

 同年に桑の葉を使用した「ちちぶ桑茶」を開発し、秩父地域などで販売している。今回のバスジェルは、桑の葉から精製されるエキスを活用し、素材そのままの香りを保持した、人の肌と環境にやさしい商品。

 長谷川さんは、養蚕業を引退した農家を一軒一軒回り、未使用の桑畑から桑の葉を収穫。最初は一つの畑でどれ程の量の葉が取れるのかが想像できず、秩父地域の複数の農家と交渉した。5本の木で約20キロの葉が収穫できることが分かり、「意外と少量の葉で、たくさんの商品が作れる」と実感したという。

 同園内にある低温真空乾燥機で、桑の葉を「低温蒸留水(エキス)」に精製。蒸留水はバスジェルに活用し、その過程で生じる桑乾燥物で「ちちぶ桑茶」を製造していく。

 長谷川さんは「たくさんの農家の方が快く協力してくれるので、今後も商品開発などを通して関係人口を創出し、さまざまな可能性を見いだしていきたい」と語った。

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