埼玉新聞

 

<新型コロナ>大宮・氷川神社、正月用のお札の授与始まる 大湯祭の熊手も…例年と異なる年の瀬の準備

  • 楼門脇には参拝者へ感染防止への協力を呼び掛ける案内が設置された=1日午前、さいたま市大宮区

 埼玉県神社庁が新型コロナウイルス感染防止のため、初詣などの密を避ける「分散参拝」を呼び掛ける中、さいたま市大宮区の氷川神社では11月30日から、早くも正月用のお札やお守りの授与が始まった。同神社では正月や、10日まで行われている神事「大湯祭(だいとうさい)」限定だった熊手や縁起物の授与も既に始まるなど、例年とは少し異なる年の瀬の準備をしている。同神社は「初詣や参拝時期の早い遅いに違いはなく、お正月へ向け、分散して訪れてほしい」と呼び掛けている。

 同神社は正月、全国有数の200万人以上の参拝者が訪れる。毎年12月10日には、大湯祭に合わせ、数多くの露店が並ぶ酉(とり)の市「十日市(とおかまち)」が行われ、大勢の参拝者でにぎわう。しかし、今年の十日市は感染拡大防止のため中止が決まり、熊手の露店も出店しない。

 年末年始を前に、県神社庁は9月、新型コロナウイルス感染防止に取り組む「変わらない祈りのために」キャンペーンを発表。感染症専門家の監修の下、参道では参拝者の動線をスムーズにして密を避けたり、臨時のさい銭箱を設け同時に複数人がお参りできるようにするなど、各神社で感染防止策に取り組むとした。また、正月三が日にこだわらず、時期を前後にずらした初詣も呼び掛ける。

 同神社でも間隔を空けて参拝を促す表示を境内に設け、手水(ちょうず)舎の使用は一時中止にしているほか、拝殿前は密集防止のためポールで列ごとに仕切るなどの対策を講じている。さらに分散参拝を呼び掛けるため、例年は大湯祭限定だった「福熊手」や漫画家の北沢楽天が福の神を描いた「富久財布」なども、11月30日から授与し始めた。

 同神社権禰宜(ごんねぎ)の遠藤胤也(たねなり)さん(60)によると、取り組みの効果は10月ごろから表れ始め、週末に集中していた参拝者は平日にも分散するように。遠藤さんは「皆さま感染防止の正しい知識をお持ちで、七五三もご祈とうも混雑を避けていただいている」と協力に感謝する。

 熊手市の中止で露店などの出店がないことから、同神社は今年、参道の左右に並ぶ約1300張りの献灯ちょうちんに明かりをともし、参拝客を迎えている。寄せられたチャリティーは新型コロナ対策関連費用としての寄付を予定しているという。

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