「消さないで!」閉校する春日部・中野中学校、校舎が黒板アートに 卒業生の美大生ら、生徒らに内緒で制作
2019/03/12/00:00
統廃合のため今月で閉校する春日部市武里中野の中野中学校(永野修校長、生徒数341人)で「黒板ジャック」による黒板アートが行われた。同中出身で武蔵野美術大の地域連携チーム「旅するムサビ」に所属する伊藤奈美さんら学生11人が描いた。
黒板ジャックは個性豊かな黒板の絵を子どもたちに内緒で制作し、登校する子どもたちを驚かせ、普段の教室を「非日常」に変化させる取り組み。制作した絵は始業時間前に消されて、授業開始時に教室は「日常」に戻る。
学生たちは日曜の3日朝から夕方にかけて、1~3年生の計10教室の黒板に、チョークを使い鳥や校舎などの作品を描いた。
翌4日朝、登校した生徒たちは黒板を見てびっくり。「リアルですごい」「本物みたいだ」などの歓声が上がった。お披露目後は、それぞれの作品を描いた学生と生徒との対話が行われ、作品の「テーマ」や「思い」が語られた。
中野中の校舎を描いた伊藤さんは「来年から学校が統合されるため、校舎を描かせてもらいました。校舎を描くのは大変でしたが、恩返しができて良かったです」と話していた。
生徒との対話が終わり、担任の教師らが「黒板を消してください」と話すと、生徒からは「もう消すの?」「消さないで!」など、作品を惜しむ声が上がっていた。
城崎克恵教頭は「生徒たちのいい思い出になったと思います」と話していた。
中野中は4月から谷原中と統合し、「春日部南中学校」として中野中の校舎で授業が行われる。