だまされた母…息子が通報、投資勧誘していた会社発覚 無登録のまま千人から計94億4千万円を集め、運用するもすぐ失敗…破綻状態なのに、さらに集金 会社代表ら逮捕、沖縄拠点責任者は無職の男66歳
国の登録を受けずに暗号資産運用への投資を募ったとして、埼玉県警生活経済課と群馬、沖縄県警の合同捜査班は14日、金融商品取引法違反(無登録営業)の疑いで、合同会社「アルカス」(東京都中央区銀座7丁目)代表の男(62)ら男4人を逮捕した。2019年から約2年間にわたり約千人から計94億4千万円を違法に集めていたとみられ、合同捜査班は詐欺容疑での立件も視野に全容解明を進める。
逮捕されたのは代表の男と、アルカスのアドバイザーを担っていた自称自由業の男(58)=東京都葛飾区東水元2丁目、同社の執行社員だった会社役員の男(56)=川口市元郷2丁目、同社の沖縄拠点責任者で無職の男(66)=沖縄県南風原町兼城=の4人。
逮捕容疑は共謀の上、21年6月5日から同年8月18日ころまでの間、金融商品取引業の登録がないのに、さいたま市の50代男性や那覇市の40代男性など4都県の男女4人に対して、同社が行う資産取引事業への出資を呼びかけ、計1300万円を違法に集めた疑い。合同捜査班は共犯事件のため、認否を明らかにしていない。
県警生活経済課によると、男らは19年11月から22年1月にかけて、知人などを介して出資者に資産取引の自動売買などができるソフトウエアを紹介。「データを駆使した通貨同士のトレード」「値上がり期待値が大きな通貨をコンピューターが割り出し」などとうたい、元金の5倍の利益を得ることができるとして集金していた。出資者は38都道府県の約千人に上るとみられ、多くが60歳以上の高齢者だったという。
男らは集金した金を元資として実際に運用を行っていたが軌道に乗らずに失敗。21年8月ごろには実質上の破綻状態となったが、その後も集金していた。当初、一部の出資者には配当金が支払われたが、さいたま市の50代男性ら4人の出資者に配当金は支払われなかったという。
20年10月、県内の男性が本庄署に「母親がだまされて30万円支払ってしまった」と通報。アルカスの投資勧誘を受けて同社に現金を預けていたことが分かり、関係者らへの聴取や男らへの任意の取り調べなどによって犯行を特定した。
合同捜査班は逮捕された4人のほかにも、20人以上が出資の勧誘に加担していたとみて捜査している。