GLAY登場、サンボマスターも 大規模フェス「さいしょでさいごのスーパーアリーナ」開催、埼玉に恩返しへ 映画ゴールデンカムイ主題歌を歌う“ACIDMAN”も出演 ビッグアーティストら、この日だけの組み合わせ予定
福島県内で毎年、大規模なロックフェスを開催している同県出身の箭内道彦さん(59)が3月30、31の2日間、さいたま市中央区新都心のさいたまスーパーアリーナでフェスを初めて開催する。同所は、2011年に発生した東日本大震災の際、同県双葉町の町民約1200人の避難先になった。震災復興ソングでも被災地を励まし続けた箭内さん。フェスのタイトルは「風とロックさいしょでさいごのスーパーアリーナ」。自身が還暦を迎える記念も兼ねて、埼玉への恩返しと「ふるさと」に対する思いを形にする。
福島県内各地で開催しているロックフェス「風とロック芋煮会」の実行委員長を務めている箭内さん。東日本大震災の発生後には、「LIVE福島 風とロックSUPER野馬追」を企画した。奥会津、会津若松、猪苗代、郡山、相馬、いわきと、同県を西から東へ1日ずつ会場を変えながら巡演。同フェスをチャリティーイベント化し、収益を被災地に寄付するなど、音楽の力で復興に尽力してきた。
今回、会場に選んださいたまスーパーアリーナは、11年3月31日まで双葉町の町民約1200人が避難生活を送った場所。フェス2日目はちょうど同じ日に当たる。「ぜひ福島の人にも足を運んでもらい、町全体を受け入れてくれた埼玉県に感謝を伝えたい」
2日間とも、昼と夜の2公演制。「風の日」と名付けた初日には、福島出身の山口隆さんがボーカルを務める「サンボマスター」をはじめ、埼玉出身のロックバンドで現在上映中の映画「ゴールデンカムイ」で主題歌を歌う「ACIDMAN」などが出演。2日目の「ロックの日」には、さだまさしさんや落語家の立川談春さん、GLAYなど、多くのアーティストがこの日だけの特別な組み合わせで出演する予定だ。
イベントのテーマは「ふるさと」。今の日本にはそれぞれの「ふるさと」を受け入れ、思い合う時間が必要だと箭内さんは声を強くする。「音楽は食べられないし、暖を取ることもできない。それでも音楽が人生に必要だと思ってくれる人がたくさんいる」。故郷の異なる人々が音楽でつながる、そんな場にしたいと笑顔を見せた。
今年1月1日には石川県で能登半島地震が発生。地震や津波の被害に見舞われ、多くの人たちが避難生活を続けている。山口さんら福島出身のアーティスト4人で「猪苗代湖ズ」を結成していた箭内さんは東日本大震災の際、チャリティーシングル「I love you&I need you ふくしま」という楽曲でふるさとへの思いを歌った。「当時、阪神・淡路大震災から復興を歩んだ神戸の人たちにエールをもらった。東北や福島が復興に向けて歩んでいる姿を見せることで、能登の方々の励ましになれば」と意気込む。
チケット先行発売中。2日間4公演の通し券は2万8871円(税込み)。詳細は同イベント公式サイト(https://kazetorocksuperarena.com/">https://kazetorocksuperarena.com)へ。
■箭内道彦(やない・みちひこ)
1964年福島県郡山市生まれ。クリエーティブディレクター。東京芸術大学卒業後、博報堂に入社。2003年、同社退社後、「風とロック」社設立。フリーペーパー「月刊風とロック」発行人・編集長。東京芸大美術学部デザイン科教授。