死亡した赤ちゃん2人…自宅浴槽で出産した母、湯から引き上げず溺死か「殺意あった」 法廷で母、殺人罪を否認…弁護士「死産の可能性」 同居男性との子「妊娠は知っていたが出産は知らず」 実家屋根裏に遺体、家族は気付かず
自宅アパート浴槽の水中で出産した新生児を引き上げず、窒息死させ遺棄したなどとして、殺人と死体遺棄の罪に問われた、埼玉県川越市の無職の母親(28)の裁判員裁判の初公判が15日、さいたま地裁(北村和裁判長)で開かれた。母親は死体遺棄罪について「間違いありません」と起訴内容を認めたものの、殺人罪については争う姿勢を示した。
冒頭陳述で検察側は、母親が水中で出産した状態のまま新生児を放置したことで新生児が死亡したとして「危険性が高い行為で、出産時には殺意があった」と主張した。 一方弁護側は、新生児は死産だった可能性があったとして、水中に放置した行為と死亡との因果関係を否定。「殺意を持った時点ですでに亡くなっていたため、殺人罪は成立しない」とした。
起訴内容などによると、母親は2018年3月ごろ、自身が出産した新生児の遺体をスーツケース内に入れて春日部市内の実家に遺棄。さらに21年8月11日ごろ、川越市内の自宅浴室内で、浴槽に張った湯水の中で新生児を出産し、水中から取り上げることなく溺水させ窒息死させた上で、死体をリュックサックに入れるなどして自宅のクローゼット内に隠して遺棄したとされる。
■同居男性との実子と判明 男性は出産知らず(以下、殺人容疑で再逮捕時の記事)
川越市の自宅などに乳児の遺体2体を遺棄したとして女が逮捕された事件で、県警捜査1課と川越署の特別捜査班は2021年10月13日、うち1人を殺害したとして、殺人の疑いで、川越市大塚2丁目、無職の女(26)=死体遺棄罪で起訴=を再逮捕した。容疑を認め、「産んでも育てられない。育てる覚悟がつかなかった」と供述しているという。
再逮捕容疑は8月11日午前2時ごろ、自宅アパート一室で、男の乳児を殺害した疑い。
同課によると、女はお湯をはった浴槽の中で出産。そのまま引き上げずに殺害したとみられる。司法解剖の結果、目立った外傷はなく死因は不詳だったが、溺死した疑いがあるという。その後、死亡した乳児をプラスチックケースの中に入れてクローゼット内に遺棄した。
死亡したのは同居していた20代男性との間の実子と判明。男性は女の妊娠を知っていたが、出産したことは知らなかったという。
県警は9月2日、死体遺棄容疑で女を逮捕。同月22日には、春日部市の実家にも別の乳児の遺体を遺棄したとして、同容疑で再逮捕した。その後の本人の供述や専門家への意見聴取などから、自宅に遺棄した乳児を殺害したと特定した。
女は実家に遺棄した乳児も同様の方法で殺害したことをほのめかしており、県警が詳しく調べる。
■屋根裏に遺体、家族は気付かず(以下、死体遺棄容疑で再逮捕時の記事)
川越市の自宅に乳児の遺体を遺棄したとして女が逮捕された事件で、県警捜査1課と川越署の特別捜査班は2021年9月22日、春日部市の実家にも別の乳児の遺体を遺棄したとして、死体遺棄の疑いで、川越市大塚、無職の女(26)を再逮捕した。「間違いない」と容疑を認めているという。
再逮捕容疑は、いずれかの日時から今月7日ごろまでの間、春日部市大場の民家の屋根裏部屋に乳児の遺体1体を遺棄した疑い。
同課によると、遺体は女の実子とみられ、2018年3月下旬ごろに別の場所で出産し、死亡した可能性があるという。その後、今月までの3年以内の間に実家の屋根裏部屋に運んで遺棄したとみられる。死因や性別は不詳。
県警は2日、川越市の自宅に男の乳児の遺体を遺棄したとして、死体遺棄容疑で、女を逮捕。その後の調べで、女が実家に別の乳児の遺体を遺棄したなどと供述したことから、県警が捜索したところ、7日午前11時18分ごろ、屋根裏部屋で遺体を発見した。実家には家族が住んでいたが、遺体については知らなかったとみられる。