埼玉新聞

 

スーパー運営で農地転用地の許可受けるも…土地転売 県議会の百条委「不適切」 自民が刑事告発の準備

  • 百条委員会で調査報告書案の採決が行われ、案通りに決定した=12日午後、県議会議事堂第4委員会室

 熊谷市上之地内でスーパーを運営するとして県から農地転用地の許可を受けた食品機械メーカーが、土地と建物を別のスーパー運営会社に転売した問題で、県議会の調査特別委員会(百条委員会、自民・長峰宏芳委員長)が12日開かれ、調査結果をまとめた報告書案が提示された。採決が行われ、今回の農地転用は手続きが不適切などとする報告書案を賛成多数で決定した。定例県議会の最終日の15日、本会議で報告され、決定される見通し。

 自民党県議団は、公文書偽造などの罪で関係者を刑事告発する準備を進めている。同団の小島信昭団長は「どの部分が犯罪性があるのか、弁護士と協議している。百条委ではできないことを県議団で行い、真相を明らかにしていきたい」としている。

 報告書によると、今回の農地転用許可処分は、農地法上認められない所有権移転を前提とした事前相談を進めていたことや、都市計画法の開発要件で認識不足があったことなどを指摘。開発許可の根幹となる収用等証明書に実際の収用面積が明示されず、移転除却の対象ではなかった店舗などが記載されていたことも問題に挙げた。

 これらを踏まえ、「本件は本来許可されるものではない。県民全体の利益を守り、失墜した本県農林行政への信頼を回復するため、県は再度、適正な手続きで本件事案を見直し、精査し、適切な処分を行うとともに議会に報告すべき」と結論づけ、熊谷市においても同様の対応を求めた。

 同日の百条委で、立憲・国民・無所属の委員が「強力な権限を持って調査したのに、この結論はおかしい。県へ丸投げしているようにしか見えない。また、“適切な処分”が“農地法許可の取り消し”を意味しているのなら問題がある。削除すべきだ」などと反対した。

 採決の結果、自民、公明、共産、改革の賛成多数で案通りに決定した。百条委は昨年10月の設置から計8回開催した。

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