「全体の1・1%」誰一人も取りこぼさない…志木市、ヤングケアラー支援に着手 予算案にヘルパー派遣事業費
埼玉県志木市の児童・生徒への実態調査で、全体の1・1%に当たる43人が家族の世話や介護、家事などに携わる「ヤングケアラー」の環境に置かれている可能性が高いことが分かった。同市は児童・生徒らの負担軽減を図るため、家事支援が必要と判断した家庭にヘルパーを派遣する「ヤングケアラー家事支援事業」に着手することを決め、新年度の一般会計予算案に事業費約180万円を盛り込んだ。3月議会で可決されれば、4月から施行する。
調査は、昨年8月から今年2月まで、市内全小学校8校の4年生以上の児童2086人と同中学校4校の生徒1803人を対象に実施。NPO法人がヤングケアラーの定義などを説明する講座を各校で開き、受講後に「ヤングケアラーだと思う」「世話する家族がいる」などのアンケート調査を行った。
回答した3231人(回答率83・1%)の結果を基に、(1)「ヤングケアラーである」(2)「世話をしている人がいる」「世話時間が平日2時間、休日4時間以上」(3)「健康状態が悪い。今の生活に不満がある」(4)「ヤングケアラーの可能性が低い」―の四つの児童・生徒に分類した。
その結果、(1)は79人(小学生49人、中学生30人)で全体の2・4%、(2)は85人(同62人、同23人)で同2・6%、(3)は314人(同182人、同132人)で同9・7%だった。この3分類の対象者へ教職員らが個別に聞き取り調査を実施。ヤングケアラーの可能性が高い児童・生徒を43人(同24人、同19人)に絞り込んだ。
対象の児童・生徒らに対して、市は今後、学校や子ども支援課による見守りや相談対応を行うとともに、その家庭と関係機関をつなげる活動に取り組む方針。香川武文市長は「各部局で横断的に取り組み、誰一人も取りこぼさない」とヤングケアラーの支援に意欲をにじませている。