訪れたいアニメ聖地、さいたま市岩槻区が舞台「着せ恋」初選出 伝統人形とコラボ、巡礼に期待
さいたま市岩槻区を舞台にしたアニメ「その着せ替え人形(ビスク・ドール)は恋をする」(着せ恋)が、「アニメの聖地」に初めて選出された。市は伝統産業の岩槻人形と着せ恋をコラボレーションした企画を実施し、岩槻の魅力を発信してきた。今月23日に「人形のまち岩槻 まちかど雛(ひな)めぐり」が始まることから、「聖地巡礼」との相乗効果による観光促進につながると期待している。
「着せ恋」は、雛人形の顔を制作する「頭(かしら)師」を目指す男子高校生五条新菜(わかな)が主人公。福田晋一さん原作のコミックは、累計発行部数1千万部を突破している。アニメは2022年1~3月に放送され、続編の制作が発表された。「アニメツーリズム協会」(富野由悠季会長)が今月9日、「訪れてみたい日本のアニメ聖地88 2024年版」を発表し、初めて選出されている。
市観光国際課は岩槻の観光につなげようと、東京都内や岩槻でイベントを開催。「にぎわい交流館いわつき」では3月10日まで、登場人物の紹介パネル、アニメの原画、出演する声優らのサイン色紙を展示している。原作者が取材した「鈴木人形」の鈴木章人さんへのインタビューをパネルで紹介。無料通信アプリLINE(ライン)で参加する謎解きも企画している。
友人と交流館を訪れた新潟県津南町のサービス業恩田和樹さん(42)は謎を解き、岩槻人形博物館で、着せ恋のチケットホルダーを入手した。飯能市や茨城県大洗町に聖地巡礼で訪れたことがあり、「登場人物が存在した場所にいるという一体感が魅力」と語る。アニメが終了すると、聖地巡礼は下火になる傾向があるという。「観光の起爆剤になると思うので、地元と連携して、まちの魅力をどこまで引き出せるかが重要ではないか」と話した。
近くの「水野書店」では、コミックを店頭で販売。アニメ放映後、全国から観光客が訪れるようになり、「聖地巡礼ノート」を置いて、特製しおりを提供している。同店経営の水野兼太郎さん(76)は「岩槻が舞台なので、うちで何かできないかと考えた」。岩槻の春の風物詩「まちかど雛めぐり」が、3月10日まで行われる。水野さんは「多くの人が岩槻に来てもらえるとうれしい。いろいろな形で、岩槻が盛り上がる一環になればと思う」と語った。
アニメの聖地に初選出されたことで、インバウンド効果も期待される。交流館によると、発表前から海外の観光客が訪れていた。同課は「伝統産業の岩槻人形をさまざまな世代の人に知ってもらう良い機会。聖地巡礼をして、岩槻の魅力を知ってほしい」と呼びかけている。
問い合わせは、同課(電話048・829・1236)へ。