<新型コロナ>一度も登校ない男児、一番恐れるものは オンラインで安心生活 登校の選択制を希望する母親
埼玉県さいたま市立小学校に在籍する高学年の男子児童は6月の学校再開後、一度も登校していない。新型コロナウイルスの感染を懸念しての欠席で、不利益を受けないとされる出席停止の扱いとなり、自宅で学習を続けている。40代の母親によると、祖父が基礎疾患を持っており、母親が介護をすることもある。母親は「長男は『おじいちゃんにうつしたくない』と話している。祖父に何かあったとき、僕のせいと思わせるのが一番怖い」と自主休校の理由を説明し、登校の選択制を訴えた。
長い臨時休校の間に、家族で登校について話し合ったという。私立高校に通う長女も当初は祖父のことを考えて学校を休んだ。長女の担任教諭が「学びはここだけではない」と、同級生の記入したノートの内容などをメールで毎日送信。担任は「同級生に感謝する気持ちが生まれる。友達を思うことも大切な時間」と話し、信頼関係を得た長女は6月末から登校を始めた。
長男はこれまで不登校になったことはなかった。長男の通う学校での感染防止対策が徹底されていないと感じたことも、休む理由の一つだという。長男は民間企業のオンライン学習と学校から出されるプリントなどで勉強を続けている。学校にはテストも提出しているが、評価は出せないと言われた。母親は学校側が登校させることに重点を置いていると感じている。子どもたちの学習を保障するためにも、母親は「一方通行でよいので、授業をオンライン配信してほしい」と提案する。
友達との交流もオンラインを活用している。長男は時間を決めて、ゲーム機などで同級生たちと交流しているという。母親は「独りぼっちではないし、友達との会話で笑い声も聞こえる。オンライン学習ができて、自分が置いてかれている感覚がなく安心感につながった。今はこれでいいと長男が望んでいる」
長女は大学受験、長男は中学進学が待っている。母親は「学校に行かせようか葛藤が長く続き、私自身も気分が落ち込む。同じ思いをしている人はたくさんいると思う。感染が増えたら休む、減ったら登校する。休んでいる間はオンライン授業を受けられる。登校が選択制になれば、多くの子どもたちの気持ちが楽になると思う」と話していた。