埼玉新聞

 

緊急事態要請する中、新年の充実願う 元日は例年の半数も 県内寺社に初詣客「ただただ普通に戻って」

  • 境内では一定の間隔を空けるように促す案内や放送がされていた=2日午後、さいたま市大宮区

 2021年が明けた。新型コロナウイルスの感染拡大防止策として分散参拝を呼び掛けた埼玉県内の寺社では2日、訪れた人々がマスクを着用しソーシャルディスタンスを取りながら、感染拡大の早期収束や家族の健康を静かに祈った。この日は埼玉県などが緊急事態宣言の発令を政府に要請。「早く生活に戻すため」「経済活動が止まる」などと参拝者の意見も割れた。

 さいたま市大宮区高鼻町の武蔵一宮氷川神社には、大野元裕知事ら1都3県の知事が政府に緊急事態宣言の発令を要請する中、新年の充実を願う初詣客が訪れた。

 同神社は参拝客の混雑を防止するための導線確保などの対策を講じたほか、周辺商店街などで分散参拝啓発ポスターを掲出。元日の参拝客は例年の半数程度となった。権宮司の東角井真臣さん(42)は「新年を迎えるまで不安だったが、参拝客のマナーの良さには感謝している。良い1年の門出を迎え、気持ち良く参拝していただくために最善を尽くしたい」と語った。

 初詣で訪れたさいたま市浦和区の岩本定幸さん(69)は「新型コロナの影響で昨年はあらゆる楽しみがなくなってしまった。今年はただただ普通に戻ってほしいと願っている」と話した。

 同市岩槻区の30代配送業男性は「感染対策がしっかりされているので安心して参拝できた」と話す一方、緊急事態宣言の発令要請には「もっと早く要請したほうが良かったのではないか。仕事柄忙しくなってしまうのでこの先が不安。さまざまな角度から具体的な支援を講じてほしい」と訴えた。

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