埼玉新聞

 

<新型コロナ>緊急宣言の再発令、県民から悲鳴や批判「タイミング遅い」「経済も心配」「補償セットで」

  • 緊急宣言の再発令に悲鳴や批判

 菅義偉首相が埼玉など1都3県に7日再発令を決定した緊急事態宣言。止まらない感染拡大の中で、県民からは「しょうがない」と受け入れの声がある一方で、「タイミングが遅い」と批判も集まる。農業を再開したばかりの台風19号の被災者は「ダブルパンチ」と悲鳴を上げた。「今こそが正念場だ」。大野元裕知事は県民への協力を求める。

 「(再発令は)しょうがないかなと正直思った」と話すのは飯能市の高校3年生、板垣里奈さん(18)。「感染者が多く、緩んでいる部分があると思う。前回より気を引き締めて外出自粛や対策を徹底しなければ意味がない。自分が感染するだけでなく家族や友人など周囲に迷惑が掛かることも意識して動いてほしい」と促す。

 2019年秋の台風19号で被災した東松山市早俣地区。高橋佳男さん(78)は印刷業の廃業を余儀なくされた。昨年に兼業の農業は再開したが、コロナ禍で米価が下がった。「(台風被害との)ダブルパンチだ。都会ほどコロナ感染は実感できないが、市内でも少しずつ増えており不安。経済も心配だ」と話した。

 「再発令のタイミングは遅かった」。県東部の農産物直売所の30代職員男性は「安心安全、人があっての仕事。政府にはしっかりやってほしい」と注文する。再発令の可能性を察してか、年明けから客足が伸びているという。ただ「営業を自粛する飲食店に直接卸している農家は大きな打撃を受けるのではないか」と懸念を口にした。

 イチゴの摘み取り体験が最盛期の東松山市農林公園。小竹典子総括責任者は「感染症対策をしっかりやって(現時点では)休業の予定はない」という。予約優先で受け付けているが「週末の3連休に期待していたが、予約が伸びていない。大きな影響がなければいいが」と不安も吐露した。

 さいたま市浦和区の小学校の50代女性教諭は「2学期も気を遣いながら学校生活を送ったが、今後はより一層の感染対策が求められる」と見据える。「飲食での感染が言われているので、特に給食は悩みどころ。再び休校にならないか心配な児童もいると思う。学校現場でできることは手洗いやうがいなどの基本を守ることしかない」と話した。

 生活困窮者などに医療に関するアドバイスを行う川口市の社会福祉司の男性は「(宣言を)出すのは遅いぐらい」とし、「失業や格差増大などの打撃は避けられず、生活や医療への補償がセットであるべき。感染を抑え込まなければ意味がないので、埼玉らしい対応を期待する」と話した。

 県が7日開いた新型コロナウイルス対策本部会議。大野知事は「県民には一層のご協力を頂き、ここで感染を食い止めたい」と訴えた。

ツイート シェア シェア