埼玉新聞

 

物々しい雰囲気…羽生市役所を捜査 課長ら逮捕 同級生の会社に便宜、現金受け取った疑い「痛恨の極み」

  • 羽生市役所を家宅捜索し、押収品を運び出す県警の捜査員=11日午後8時10分ごろ、羽生市役所

 埼玉県羽生市が発注する業務委託を受注できるよう便宜を図る見返りに現金計20万円を受け取ったとして、県警捜査2課と久喜署、羽生署の合同捜査班は11日、収賄の疑いで、羽生市まちづくり部建設課課長(53)=同市下新郷=を逮捕、現金を渡したとして、贈賄の疑いで、同市須影の大工工事業「クリーン・テック」経営者(53)を逮捕した。

 逮捕容疑は昨年2月上旬と7月下旬の2回、羽生市内で、市が発注する2件の業務委託の業者選定に関し、53歳課長が有利な取り計らいをする見返りに、53歳経営者から現金計20万円を受け取った疑い。県警は認否を明らかにしていない。

 同課によると、対象となった市の業務委託は昨年2月の雑草刈払業務と同年6月の側溝清掃業務の2件。業者の選定方法は随意契約で、市が指定した2社以上の業者に見積書を提出させて最低額を提示した業者と契約する。

 53歳課長は2018年4月からまちづくり部建設課課長を務め、50万円以下の業務委託に関して業者を選定する権限があった。部下に業務の起案段階からクリーン・テックを入れるように指示していたという。

 見積もりはクリーン・テックを含む数社が提出。同社は雑草刈払業務を48万4千円、側溝清掃業務を49万5千円で受注していた。53歳課長と53歳経営者は市内の中学の同級生で、知人関係だったという。

 捜査2課員が19年10月、市発注の業務委託に関して職員と業者が癒着しているとの情報を入手し、捜査を進めていた。県警は市役所やクリーン・テックなど数カ所を家宅捜索した。

 県警は両容疑者が関わる他の取引についても不正がないか詳しく調べる。

 市職員の逮捕に河田晃明市長は「管理職職員が逮捕されたことは誠に遺憾であり、痛恨の極み。行政に対する信頼を大きく損ねたことに心からおわび申し上げます。原因究明と再発防止に努め、信頼回復に取り組んでまいります」とコメントを発表した。

■羽生市役所で家宅捜索

 羽生市職員が逮捕された事件で、市役所では11日、県警による家宅捜索が行われた。

 市役所には厳しい寒さの中で報道陣が集まり、物々しい雰囲気に包まれた。午後5時半ごろに市役所に入った捜査員は同8時すぎ、裏口から押収品が入った段ボール箱を抱えて出て、車に積み込んだ。

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