大学入学共通テスト始まる 休校中の対策遅れ…受験生ら、危機感抱え本番へ 聞こえるせき、感染も懸念
大学入試センター試験の後継で初実施の大学入学共通テストが16日始まった。埼玉県内では埼玉大学など27会場で行われ、大きなトラブルはなかった。共通テストは17日までが第1日程で体調不良などで欠席すると、30、31日に設定の第2日程が追試験となる。受験生たちは感染の心配や休校中の対策遅れの危機感を抱えながら入試本番を迎えた。
埼玉大学では例年より15分早い午前8時15分に開門。マスク着用の受験生は8時ごろから保護者の車や路線バスなどで到着した。
新型コロナウイルス対策として各部屋などに消毒液を置き、休憩時間に換気を実施。埼玉大学が試験を管轄する5カ所の高校会場では、3密回避へ1教室当たりの受験生の数を例年の40人から35人に減らした。医師らが待機し発熱などの体調不良者がいれば診断し、別部屋での試験続行か追試験に変更かを案内する対応を決めていた。
12日から体調不良などで第1日程の受験見送りの申請受け付けを開始。申請数は非公表だが「申請の電話は少なくない」という。
初日は「地理歴史・公民」「英語」などで、午前9時半から始まり、午後6時すぎに終了した。埼玉大学で受験した公立高校3年の男子生徒(18)は、1回目の緊急事態宣言に伴う昨春の休校期間中、休校でも受験対策を進める私立高校があると聞き、「危機感を持ち続けた」という。受験の幕開けとなる大学共通テスト対策へ、大手予備校の模試を多く受けるなど対策を進めたが、「解いたことがない難問が多く苦戦した」と表情をこわばらせた。
県立高校3年の女子生徒(18)は「国語は過去問より難易度が上がった」としつつ、17日は得意の理数系で挽回を期す考え。公立高校3年の男子生徒は「過去問より難しく、見直し時間を取れなかった」と悔しさを口にした。
試験会場の感染防止対策については、3人とも「コロナ対応で席の間隔を空けると思っていたが、思ったほど空けてなかった。せきが聞こえると心配になった」などと懸念を口にした。
大学入試センターによると、県内を受験地とした志願者数は、昨年比1013人減の2万8516人(男1万6803人、女1万1713人)。うち今年高校を卒業見込みの現役志願者は2万3816人で、浪人などすでに卒業している志願者は4700人だった。第1日程の志願者数は2万8480人。