<乳児死亡>生後3カ月を放置 妊娠時、周囲が母親支援も…父親が現れてから支援拒否「自分でできるから」
衰弱した生後3カ月の四女を放置して死亡させたとして、埼玉県警捜査1課と児玉署は20日、保護責任者遺棄致死の疑いで、いずれも美里町関の無職の父親(29)と母親(28)を逮捕した。死亡した四女喜空(きあ)ちゃんは顎や肋骨(ろっこつ)を骨折しており、ミルクを飲んだりすることが困難な状態だったという。県警は父親らが日常的に虐待していた可能性もあるとみて調べる。
逮捕容疑は昨年8月ごろ、自宅で、ミルクを飲まず低体重、低栄養状態だった喜空ちゃんに医師の診療を受けさせないで放置し、同年9月11日に死亡させた疑い。
■コロナで家庭訪問拒否 美里町と熊谷児相、複数回接触も防げず
事件を受け、美里町と熊谷児童相談所は20日、記者会見し、原田信次町長は「関係機関と協力して対応してきたが、このような事態になり遺憾。再発防止に努めたい」と述べた。町はこれまで、家庭訪問や電話などで複数回、両親や子どもと接触していたが、発育などに問題はなく「虐待という認識はなかった」という。
町によると、母親が町内に転入したのは2011年。その後、妊娠が分かったことから、経済面や住まいの確保などの支援を通じて家庭との関わりが始まった。
月に1回程度、家庭訪問をしていたが、今回逮捕された父親との交際が確認された19年夏以降、関係機関との関わりに拒否的になった。双子の養育支援について説明した際には、父親が「自分でできるから支援は要らない」などと拒否することもあり、町は家庭訪問のほかに親族や病院と連携しながら、対応を続けていた。
昨年5月の双子の出産後は、新型コロナを理由に訪問を拒否。町が7月に行った検診では、双子はいずれも体重増加や発達状況は良好で、「両親が協力して育児をしている様子だった」という。
同年8月、近隣住民から県警に泣き声についての通報があったことを知り、要保護児童対策地域協議会(要対協)の会議を実施。見守り対象の家庭として、児童相談所などとの連携を確認していた。