埼玉新聞

 

<新型コロナ>無料サービス決断、さいたまのクリーニング店 学生服対象 売上半減でも、学生の笑顔のため

  • 「学生服の持ち込みを大歓迎しています」と話す梅村宗弘さん(右)と長男の昭文さん=25日午後、さいたま市中央区

 コロナ禍でつらい思いをした子どもたちに笑顔を―。埼玉県さいたま市中央区の「クリーニングのかわぐちや」が今月22日から、学生服の無料クリーニングキャンペーンを始めた。代表取締役の梅村宗弘さん(59)は「きれいな学生服で気持ちを新たにし、楽しい学校生活を過ごすための手助けができたら」と話している。

 きっかけは梅村さんのある思いから。「コロナの影響で学校では文化祭や運動会など中止。部活動ではせっかく練習してきたのに試合を行えず、子どもたちは本当に我慢を強いられている」。同店の常連客にも教員が多く、学校の現状をよく耳にしていた。「子どもは親や先生にも文句を言えない立場。やり切れないつらい思いを抱えている子どもたちのために、何か力になれないか」。社会貢献と地域へ恩返しの意味を込め、学生服の無料クリーニングを決断した。

 同店で学生服は通常1着1000~1200円。当初は割引サービスも考えたが「お金もうけでなく、子どもたちを助けたい一心」から無料にこだわった。

 同店は1926(昭和元)年創業で、宗弘さんが現在3代目。ワイシャツのボタン無料取り付けや無料宅配サービスなど、地域密着店として愛されてきた。店舗の隣に自社工場を構え、現在は長男の昭文さん(34)のほか、女性スタッフ8人が働いている。

 店も新型コロナウイルスの影響を大きく受けた。昨年春の第1波では売り上げが前年比5割減。次第に回復の兆しも見えたが、緊急事態宣言の再発出によりテレワークする人が増え、ワイシャツやスーツの注文がほとんどなくなった。経営的にも決して順風といえない中での無料サービスに戸惑いもあったが、「子どもたちの笑顔につながれば」と梅村さん。一緒に働く女性スタッフも快く受け入れてくれたという。

 梅村さんは「コロナの収束が見えず、もやもやした気持ちが続くが、学生服だけでもサッパリして気持ち良く学校生活を過ごしてほしい」と話している。

 キャンペーンは3月6日まで毎週金、土曜日の午前9時~同11時半まで受け付け。学生服と園児服(園児帽は対象外)が対象。日曜日の午後5時に仕上がり。1回の持ち込み枚数は学生服5点まで。

 問い合わせは、同店(電話048・831・3478)へ。

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