1975（昭和50）年に開店し来年で50年。大塚耕太郎さん（74）、かをるさん（72）夫妻が半世紀にわたり店の歴史を紡いできた。市街地にほど近く、杉戸から幸手、茨城に抜ける県道沿い。昼は地元の人やビジネスマンらなじみ客、夜は職場の宴会や地元の集まりでにぎわう。

　耕太郎さんは20代で店を開いた。「何か商売をしたかった。初めはまさに九尺二軒（くしゃくにけん＝6畳間ほど）の小さな店。昼も夜も出前をやりながらなんとかやってきた」と当時の思いを語った。かをるさんも「夢中だったからあっという間。いろんなお客さんとおしゃべりができた」と半世紀を振り返る。

　ボリューム満点、基本の中華「ラーメンとチャーハン」、「ギョーザ」は開店以来の人気メニュー。加えてカツカレーなどの注文が多いという。「国産の肉を使って厚い。カツがおいしいと言われる」

　個人の飲食店が活況だった当時、味はもちろん、2人の人柄に引かれ、店は繁盛店に。リフォームを繰り返し、テーブル席と座敷席を分けるまでに広がった。一方、時代の移り変わりとともにチェーン店やコンビニエンスストアなどが増え、周りの個人店は、次々と姿を消した。「もうかる仕事じゃないし休みも少ない。後継ぎがいなければ店を閉めるしかない。みんな辞めちゃった。残っているのはうちだけかな」

　高齢を理由に、夫婦どちらかが体調を崩したら店を閉めようかとの相談も。それでもあと10年は店を続けたいと意気込みを見せる。「まわりのお客さんが閉めさせてくれない。店を開けているうちはみんな喜んでくれるから」と静かに語った。

【主な人気メニュー】ラーメンとチャーハン850円、ギョーザ450円、カツカレー1050円、焼き肉定食1050円、肉生姜焼定食1050円。一品料理、パーティー用メニュー、ライス付きの定食、セットなどメニューは豊富。

【メモ】「栄華」埼玉県杉戸町杉戸2844の1、東武動物公園駅から1・6キロほどの県道沿い。（電話0480・32・2274）。営業時間午前11時～、夜は午後5時から、ラストオーダーは同8時。定休日は月曜。