埼玉新聞

 

大好きなまちを歌に…小5男児の“野望”着々 自身で作曲、友人らと作詞「吉川の歌」 今の目標は市の公認

  • 吉川の歌を披露する子どもたち=3月2日午後、埼玉県吉川市美南

    吉川の歌を披露する子どもたち=3月2日午後、埼玉県吉川市美南

  • 吉川の歌を披露する子どもたち=3月2日午後、埼玉県吉川市美南

 大好きな埼玉県吉川市を歌で表現できないか―。ある男児の頭に浮かんだ何げない思いが、名曲を生み出した。児童がアイデアを出し合い、作詞・作曲した「吉川の歌」。歌唱の輪は中学生や大人をも巻き込んで広がり、さまざまなアレンジ版の企画も進んでいる。発案者で市立中曽根小学校5年生の菅野善太さん(11)は「未来にずっと歌われ続けてほしい」と願いを込める。

 きっかけは昨年5月、菅野さんが加須市のイベントに参加した時のこと。会場中に加須市のPR曲が流れ、自然と菅野さんの耳に入ってきた。「吉川にもこんな歌があったら良いのに」。5歳からピアノを習う菅野さん。育まれた音楽の感性が反応した。

 早速、曲作りに取りかかる。歌詞で使う言葉を募集するため、友人にアンケートを実施。すると面識ない他校の児童も協力してくれた。集まった「なまず」「川」など吉川市を連想する言葉を基に、クラスメートで歌詞を考案。放課後に何度も集まり意見を出し合った。保護者の力も借りてメロディーを楽譜にし、9月中旬に「吉川の歌」が完成した。

堂々のステージ

 初披露は同10月下旬の市民祭り。一緒に歌う仲間を募集すると中学生を含む約20人が手を挙げた。学校や年齢の垣根を越えて吉川を愛する小中学生が集結。歌声を堂々と披露した。荒川幸羽さん(11)は「吉川が大好きな仲間同士。練習を重ねて絆が強くなった」、飯島永翔さん(11)は「吉川の魅力が詰まった歌。思いを伝えることができた」と初ステージを振り返る。

 発表で自信を深めた子どもたち。歌を広めたい思いが一層強く芽生えた。その後はギターや手話など市内の各団体に声をかけ、アレンジ版の作成を依頼。大人を巻き込んでPR活動に励んでいる。

吹奏楽版の作成

 現在取り組むのが吹奏楽版の作成。子どもたちが吉川吹奏楽団の定期演奏会(4月21日、市中央公民館)にゲスト出演が決まり、披露するためだ。そこでプロ音楽家に編曲を依頼する資金を、クラウドファンディング(CF)で募っている。「(吉川へ)思いが詰まったお金で編曲料を払いたい」と菅野さんが母親に相談し立ち上げた。目標額は3万円。寄付は500円から受け付け、歌の動画などを返礼にする。

 今の目標は吉川の歌が市公認曲として認められ、日本中に広まること。手話、ギター、吹奏楽と多彩なアレンジ版も兼ね備え、幅広く歌われることを願っている。「僕たちがおじいちゃんになる時代まで、永遠に歌い継がれてほしい」と菅野さん。大きな夢を抱く。

吉川の歌(一部)

二つの川に挟まれて
笑顔あふれるこの町に
キラキラ光る僕たちの
希望の虹が架かってる
何百年も前から
変わらず流れる川は
金のなまずの親子も
見守っている
よーし吉川いいところ
みんなが大好きな町
よーし吉川いいところ
みんなで守ろうこの町を

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