スーパーサイエンスハイスクール大宮北高、福島・磐城高とオンライン交流 原発事故の風評被害払拭を訴え
埼玉県さいたま市立大宮北高校の生徒と福島県立磐城高校の生徒が1日、オンラインによる交流会を行った。大宮北高生は、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故で被災した福島の復興に向けた課題や取り組みを学んでいる。大宮北高生の質問に、磐城高生が答える形で、震災体験や原発について意見交換した。
交流会には大宮北高の1、2年生ら12人と磐城高生ら約10人が参加。最初に磐城高生が同校の取り組みなどを紹介して、質問に回答した。
震災当時の記憶について、小学1年だった磐城高の男子生徒は「地震が起きて帰宅したら、いろんなものが壊れていた。数日間は福島にいたが、水が出ず、食べ物も少なくなり、急に何かやばいものが出たらしいという認識で、千葉に逃げた。当時は原発事故について何も分からない恐怖があった」と説明した。
別の男子生徒は、原発被災した祖父母の田んぼが心配だったとしながら、「ニュースが過大に伝えられることがある。福島のコメ、農産物は精密な検査を受けていて、安全だということをぜひ知ってほしい」と風評被害の払拭(ふっしょく)を訴えていた。
ほかにも「事故が起きた原発は安全性に問題があり、コストから考えると再稼働しなくても良い」「廃炉が産業化して発展している」「事故から10年が経過して風化の懸念がある」との意見が出た。
交流会後、大宮北高1年の富田倖生さん(16)は「廃炉に向けて技術がどのように使われているのか、話を聞けて勉強になった。福島に対して意識を深めていく第一歩になったと思う。来年はぜひ福島に行きたい」と話していた。
同高2年の古川理子さん(17)は「原発の再稼働について、高校生が自分の意見を持っているのはいいなと思った。風評被害は福島の人にとって、たまったものではない。大人たちが風評被害をつくったと思うので、私たちの世代でなくしたい」と宣言していた。
文部科学省の「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」に指定されている大宮北高は、「福島復興探求学」を授業に取り入れている。2019年から、生徒らが福島でフィールドワークを実施、磐城高生とも現地で交流していた。今年は1月27、28日に福島を訪れる予定だったが、新型コロナ特措法に基づく緊急事態宣言が再発令され、訪問が中止となり、今回の交流会が開催された。