常盤貴子さん、安達祐実さん、寺島しのぶさんら出演 埼玉で初上映、映画「わたしのかあさん―天使の詩―」に込められた山田火砂子監督の思い 船越栄一郎さん、高島礼子さんも演じる“共生”に泣き笑い
愛情深く子どもを育てる知的障害者夫婦とその子どもの成長を描いた映画「わたしのかあさん―天使の詩―」(山田火砂子監督、110分)が29日、さいたま市浦和区の埼玉会館で県内初上映される。障害者と健常者の共生を願う山田監督の思いを込めた作品。知的障害の母親を寺島しのぶさんが好演し、常盤貴子さんが長女を演じている。製作「蟹工船」などの独立映画を撮り続けてきた現代ぷろだくしょん(東京都新宿区)。当日は山田監督の舞台あいさつがある。全国巡回上映中で県内3カ所で上映される。
山田監督は、夫の山田典吾監督と共に、プロデューサーとして映画を製作してきた。70歳で監督としてデビュー。主な作品は「一粒の麦 荻野吟子の生涯」「石井のおとうさんありがとう 岡山孤児院・石井十次の生涯」など。
養護学校で40年近く教員を務めた菊池澄子さんの児童文学「わたしの母さん」を原作に、知的障害のある長女を育てた山田監督の経験を交えて映画化した。物語の舞台は、スマートフォンなど障害者を補助するツールがなかった1980年代。知的障害のある母親・清子と父親、弟と都営団地で暮らす高子は小学3年生の時に、両親の知的障害に気付く。一時は周囲と違う両親を恥じ動揺する。しかし、天真らんまんで損得を考えない清子の生き方は、悪口を言っていた近所の人たちの心を変え信頼を得ていく。母親の姿を見た高子はある決心をする。
他のキャストは父親に渡辺いっけいさん、清子の母親に高島礼子さん、高子の友人の父親で清子の主治医に船越栄一郎さん、実在の人物で知的障害者の福祉に尽力した糸賀一雄に宅麻伸さん。山田監督は「演技派の俳優さんが多数参加し、福祉映画もここまできたかと感動しています。幸せとは何か。貧しくとも温かい家庭とは。泣き笑いのあるこの映画をお楽しみください」と話している。
時間は午前10時半、午後2時。一般1800円(前売り1300円)。県内上映は4月19日クレアこうのす、6月15日越谷サンシティホール、7月25日埼玉会館。時間は同じ。
問い合わせは、同プロ(電話03・5332・3991、平日午前10時~午後6時)へ。