埼玉新聞

 

生徒へのわいせつや体罰…学校での教職員処分が深刻化 県教育局、不祥事防止の新プログラムを策定

  • 埼玉県庁=さいたま市浦和区高砂

 埼玉県の高田直芳教育長は5日の定例会見で、昨年度の教職員の懲戒処分が過去10年で最多となるなど学校における不祥事が深刻化していることを受け、教員としての当事者意識を高く持つよう働き掛ける新たな不祥事防止研修プログラムを策定したと発表した。高田教育長は4日に中学校教諭を生徒へのわいせつ行為で懲戒免職処分としたことに触れ、「教育への信頼を著しく傷つけ、とりわけわいせつ行為は被害生徒の心と体に重い傷を負わせるもので言語道断」と述べ、不祥事全般の根絶へ意欲を示した。

 プログラムは計88ページの冊子にまとめられ5日、同局のホームページ上に掲載された。8日に県内の学校に送付される。

 心理学などの専門家や被害者支援団体の協力を得て、認知のゆがみや依存症、学校という職場環境の特殊性などについて解説し、「誰もが不祥事を起こしうる」ことを伝えている。高田教育長は「従来の研修で中心だった法令や処分の知識に加え、教職員としての誇りや当事者意識を高めることを重視した」とし、「個別の事例ごとに朝15分程度の短時間の研修を繰り返し行うなど、活用してほしい」と期待を寄せた。

 個別の不祥事編では、体罰▽わいせつ▽セクシュアル・ハラスメント▽個人情報の管理▽交通事故―など11の項目に分け、それぞれについて実際にあった事案に基づく例や関連法、発生状況などを紹介した。わいせつ行為については、2017~19年度に起きた32件のうち、自校の児童生徒が被害者となる事例が19件、メールやSNSがきっかけとなったのが16件、自家用車に児童生徒を同乗させた事例が9件だったとした。

 本年度の懲戒処分件数は5日までに16件で、そのうちわいせつ行為は7件、体罰は1件、交通事故は3件。

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