埼玉新聞

 

<新型コロナ>影響甚大のスキー場、客足減 負い目を感じる客「スキー板を持って家出ると近所の目が」

  • マスクをしたままスキーを楽しむ来場者=1月30日午前、所沢市上山口の狭山スキー場

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言の再発令を受け、書き入れ時を迎えたスキー場が甚大な影響を受けている。2シーズンぶりに営業を再開した埼玉県所沢市上山口の屋内スキー場「狭山スキー場」では、営業時間の前倒しや感染防止対策を徹底しているが、利用客の減少が止まらない。一方、県外のスキー場へ出掛けたスノーボーダーからは「利用されなければ、スキー場が閉鎖してしまう」と懸念する声も聞かれる。

 狭山スキー場は昨年11月12日、リニューアルオープンした。初心者や小さな子どもも利用しやすいようゲレンデの移動をリフトからエスカレーターに変更したり、そりや雪遊びを楽しめるキッズゲレンデなどを新設。営業担当者によると、11、12月は例年、“初滑り”の場として利用されるが、緊急事態宣言再発令の前から徐々に客足が減り始めた。

 平日午前中に目立っていたシニア層は現在「ほとんどいない」といい、「家を出るときにスキー板を持っていると近所の目が気になる」と不安がる声も。修学旅行の代わりにスキー教室を企画していた中学校もあったが中止となり、団体利用にも響いている。

 午前10時~午後9時だった営業時間は宣言を受けて午前9時~午後8時に1時間前倒し、金曜と土曜に実施していたオールナイト営業は当面休止に。利用客には手指の消毒や検温、滑走中のマスク着用を呼び掛け、入場ゲートやチケットカウンターなど手が触れる場所を小まめに消毒するなど、感染防止対策を徹底している。

 「コロナ禍のため『ぜひ来場してください』と言えない状況」でポスターを使った呼び掛けなども取りやめた。それでも、「来ていただいたお客さまには楽しんでもらえるようにしている」と同担当者は話す。

 ウインタースポーツの愛好家にとっても厳しい冬だ。毎年、関東近郊へスノーボードに出掛けている桶川市の男性会社員(50)は緊急事態宣言下の1月、群馬県内のスキー場を訪れた。「スキーやスノーボードは冬しか楽しめない。県境をまたぐ移動自粛のことは知っていたが、我慢できなかった」

 駐車場では他県ナンバーの車も見掛け、「自分だけではない」ことに安堵(あんど)した。例年は混雑しているゲレンデも、ほぼ貸し切り状態で滑りを満喫。ただ、負い目を感じていないわけではなく、人混みを避け、なるべく短時間で切り上げて帰ってきたという。

 男性は「予想以上に閑散としていて驚いた。この時期に出掛けるのは良くないことだが、利用されなければスキー場が閉鎖してしまう。どうにかして応援したいが」と困惑した様子で語った。

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