丸広撤退…東武ストア閉店、小中学校も閉校 人口も減少、街の再整備が求められる坂戸 近隣の川越、鶴ケ島、東松山は人口増…ほかに減少は日高のみ 市長選、市議選が告示へ 急務の“団地”活性化どうなる
任期満了に伴う坂戸市長選と市議選(14日投開票)は7日、告示される。市長選は4選を目指す現職の石川清氏(73)に、いずれも新人で元小学校長の農業大川泰弘氏(62)、元坂戸市議の住宅設備設計業小川達夫氏(63)、元坂戸市議の生花販売会社社長友田雅明氏(53)が挑む見通しだ。近年は人口が減少。市を再び活性化させるビジョンが問われる。
東武東上線の北坂戸駅西口に、集合住宅が林立する広大な団地が広がる。ところが、駅前の高層住宅下層階は、18区画のうち7区画が空き店舗。北坂戸団地商店会の坂田勉会長(59)は「平成の初期には、ほとんど全てが店で埋まっていたが」と嘆く。
北坂戸団地は1973(昭和48)年に住民の入居が始まり、昨年50周年の節目を迎えた。市の発展を先導した活気は、既にない。団地を抱える北坂戸地区の人口は、2010年1月の1万8673人から今年1月には1498人減の1万7175人に。市全体の人口も、10万1240人から1713人減の9万9527人になった。
周辺では、西口の東武ストアが16年に閉店。市立北坂戸中学校は11年、同北坂戸小学校が16年に閉校している。駅の東側では、丸広百貨店坂戸店が22年に撤退した。だが、境界を接する近隣市は川越市、鶴ケ島市、東松山市が10年に比べて人口増。ほかに減ったのは日高市だけだ。
市は団地がある地域の活性化が急務として、23年度に北坂戸地区の再生事業基本計画をまとめた。団地の中心で駅西口付近の溝端公園(約2万3600平方メートル)に市と民間の拠点施設を建設し、300メートルほど西の旧北坂戸小跡など(計約2万2700平方メートル)に公園を整備する方針。同地区内でも、一戸建てが多い区域は空洞化がさほど進んでおらず、伊豆の山町西町内会の井上威雄会長(84)は「若い人が来て空き家が減った。ただ、団地は手を打たないと全体がしぼむ」と心配する。
一方、市の計画に対する懸念も聞かれる。「民間部分は商業施設としては規模が小さい」と坂田会長。一部にしかエレベーターがない集合住宅や、旧型の商店区画といった、UR都市機構が建設した団地の課題解決も求められ、連動した街の再整備なしには効果が限定的な可能性もある。北坂戸団地自治会の石井征子会長(79)は「施設を造るにしても、災害時に避難できるようにしてほしい。高齢の住民が北坂戸小跡の公園まで行くのは困難」と言う。
石川市政が継続すれば、27年度の供用開始を目標に、計画は本年度から本格的に動き出す。小川氏は白紙撤回を掲げ、溝端公園のリニューアルと北坂戸小跡をスタートアップ企業などに活用してもらう案を提示する。ほか2氏は計画に具体的言及はないが、大川氏は市内駅周辺の再整備と地域産業の振興を主張。友田氏は企業誘致による経済の活性化を打ち出している。
市議選は定数20に現職13人、新人10人の計23人が事前審査を済ませた。
有権者数は3月1日現在、8万3278人(男4万1427人、女4万1851人)。