埼玉新聞

 

人気アニメ・鬼滅の刃の言葉で注意促す コロナ禍でもみかじめ料要求 県警、暴力団排除に「全集中」

  • 県警が作成した暴排ステッカーを店先に貼る佐藤信一さん=19日午後、さいたま市浦和区高砂1丁目、スナック「信ちゃん」

 暴力団、断固拒否に“全集中”―。コロナ禍でも暴力団が事業者に「みかじめ料」などを不当に要求する事案が絶えないことから、埼玉県警捜査4課は暴力団排除ステッカーを作成し、県内の事業者に配布している。店先に貼ることで、暴力団排除に取り組んでいる店舗であることを周知し、暴力団と事業者との関係を断つことがねらい。

 ステッカーはA6判で、県警のマスコットキャラクター「ポッポくん」が笛を吹いて注意を促すデザイン。上部には人気アニメ「鬼滅の刃」の主人公が、敵の鬼と戦う際に用いる呼吸法「全集中」にちなみ、「暴力団、断固拒否に全集中!」と言葉を添えた。

 19日には、さいたま市浦和区のスナック「信ちゃん」にステッカーを配布。店主の佐藤信一さん(73)が店先にステッカーを掲示した。佐藤さんは「『埼玉県警』の文字があるだけで店としても安心して営業ができる。県警に地域を守ってもらいながら、安心安全の維持につながれば」と話した。

 不当要求の例としては、暴力団が、縄張りとしている地域で営業する事業者から金銭を徴収する「みかじめ料」や、暴力団と関係のある業者とのリース契約を求めるものなどがあり、昨年、県警は中止命令など計99件を発出。内訳は中止命令96件(前年比6件増)、再発防止命令3件(同1件増)といずれも増加し、飲食店が不当要求の対象となるケースは全体の約3分の1を占めた。

 同課の大沼秀憲次席は「コロナ禍で飲食店の経営が苦しいにもかかわらず、暴力団員はみかじめ料などを要求している。ステッカーを貼ることで、暴力団を断固拒否し、すぐ警察に相談してほしい」としている。

 ステッカーは1万部作成され、今後、事業者を対象とした研修会などで配布する予定。

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