<新型コロナ>がっかり…緊急宣言が再延長 かき入れ時の行楽シーズン控え、飲食店や観光地から悲鳴
埼玉を含む1都3県に発令されている緊急事態宣言の再延長が5日、正式に決まった。慌ただしい年度替わりの時期を前に、忍耐の日々はさらに続く。「がっかりの一言」「政府は柔軟な対応を」。延長に次ぐ延長に、時短営業している県内の飲食店からは悲鳴が上がり、行楽シーズンを控えた観光地からはため息が漏れた。
サッカーのJ1浦和レッズのサポーターが集う居酒屋「酒蔵力 浦和本店」(さいたま市浦和区)の今井俊博店長(41)は「サポーターの歓声がコロナに奪われた。商店街は打撃を受け、浦和の街は元気がなくなった」と語る。
酒類提供は午後7時、営業は午後8時までに制限されている。「午後6時の試合開始では後半に酒類提供ができない。試合終了後、お客さんが一斉に店を出るので密になる。政府はもっと柔軟に対応してほしい」と訴え。昨年の宣言時からランチ時間の営業を始めた。営業努力を重ねても、売り上げは3割ほど減少している。宣言が解除されても、「生活リズムが変わったお客さんが戻ってくるのか不安」と話す。
宣言の発令で飲食店とともに大きな影響を受けている観光地。川越市の菓子屋横丁の土産店関係者は「がっかりの一言」と肩を落とす。積極的に集客を呼び掛けることはできない状況でも、「ちょろちょろと観光客が訪れている」という。
駄菓子店などが軒を連ねる横丁には感染拡大前、校外学習で訪れた子どもたちや外国人観光客の姿が多く見られた。コロナ禍で売り上げは半分程度に落ち込み、店内に置く土産物については賞味期限のある食料品はなるべく控え、土産グッズ類を増やしている。「春休みシーズンは観光業界にとってかき入れ時。それまでに解除されるといいが…」
「2週間延長は当然のことで、妥当なラインだと思う」。秩父観光協会の鈴木日出男専務理事(61)は一定の理解を示す。1月の再発令後、秩父地域の観光客は大きく減少したが、2月中旬ごろから再び増え始めているという。4月16日からは秩父市大宮の羊山公園内にある「芝桜の丘」が有料になる予定で、「今はもう少し我慢して、4月から多くのお客さんに来てもらえれば」と期待する。
春日部市の40代主婦は「2週間伸びたからといって、あまり変わりはない」と冷静に受け止める。心配なのは宣言の解除後。春休みや新学期に向け、社会活動が活発化することで「入学や転勤ですでに解除されている地域に訪れたり、人と会う機会も増える。時短営業を計画的に伸ばすなど、リバウンドが来ないよう対応する必要があるのでは」と話した。