小江戸川越の面影残す商家を改修、川越に文化体験施設 8日開業、そば打ちや茶道などの伝統文化を提供
2021/03/07/00:00
小江戸川越で蔵造りの商家の面影を残す、築380年の「田口家住宅」(埼玉県川越市松江町2丁目)を改修した文化体験施設「百足屋(むかでや)」が8日開業する。往時の状態を極力残した町家空間で観光客向けに茶道や書道、日本舞踊など日本の伝統文化を提供する。
田口家は1639年に創業し、百足屋の屋号を掲げ、糸や組みひも、かつお節を扱う問屋を営んでいた。敷地は奥行きが深く、通りに面した店蔵から奥へと住居、内蔵(文庫蔵)、外蔵(商品蔵)と続いている。戦時下の統制経済の影響で1942年に廃業した。1896年建造の店蔵(木造2階建て)は市指定有形文化財。
地元有志が国の交付金などを原資に2018年から保存・活用事業に乗り出していた。体験講座(有料)として、そば打ち、つるしびなやフラワーアレンジメント作り、きつね面の絵付けなど予定。新型コロナウイルスの感染が落ち着き、外国人観光客が戻れば、外国人に喜ばれる茶道、書道など日本の伝統文化体験も提供していく。
店蔵では田口家所蔵品を一部公開し、川越唐桟の小物類や河越茶などの土産物を販売。カフェを併設し、内蔵ではレンタル着物の着付けができる。
事業を展開する株式会社「百足屋」の取締役、嶋田和則さん(79)=同市宮元町=は「貴重な建物を維持管理する中で、再生を下支えする若い職人が出てくることを期待したい」。同取締役の鹿倉康弘さん(68)=同市霞ケ関東=は「収益が出れば今後、ほかの蔵の再生も考えていきたい」と話している。
営業時間は午前10時~午後5時。水曜定休。
問い合わせは、百足屋(電話049・292・0075)へ。