11カ月間の全面休館に…埼玉県立武道館、床の張り替えなど第2期工事へ 柔道などの競技団体、会場探しに奔走
埼玉武道界の拠点である県立武道館(上尾市日の出)は、主に内装工事を実施する第2期大規模改修工事に伴う休館を発表した。期間は9月2日~来年7月31日(予定)の11カ月間。各道場と会議室などの利用が全面休止となる。幅広い年代で柔道や剣道などの各種大会が開催されている同館が1年近く使用できなくなるため、大会を予定していた競技団体などは別会場での開催に向け準備を進めている。
同館は埼玉の武道振興の新たな拠点として、2003年8月にさいたま市(旧浦和市)から現在の地に移転。04年の埼玉国体では柔道の会場となった。完成から20年が経過し、第1期として昨年9月から今年3月まで屋根や外装の工事を行い、一部施設の利用を停止していた。第2期工事では床の張り替えや照明のLED化に着手する。
同館の1年間の利用者数は22年度が16万7828人、23年度が14万5315人。各武道の学生・一般の県大会や、講習会の会場として利用されてきた。隣接する上尾運動公園(さいたま水上公園)の駐車場を併せ約900台が収容可能。各道場などには冷暖房が完備されている。
関東や全国など大規模な大会の会場としても活用されてきただけに、今回の利用停止の影響は各競技に広がりそうだ。大会開催の代替地のめどが立っている団体がある一方、駐車場の数や立地などの要因で会場探しに奔走している団体もある。
第2期工事終了後の来年10月に、県内で全日本杖道(じょうどう)大会の開催を予定する県剣道連盟の渡辺秀樹事務局長は「正直困っている。本当に7月で工事が終わるのか」と話した。各市町村に会場を割り振るなど、大会の日程や運営方法を試行錯誤する。
県高校総体など年間六つの主要県大会を同施設で開催する県高体連柔道専門部の吉井誠委員長は、これまでとの環境の変化に伴い、選手にどのような影響があるのか思案する。「冬は寒くて体が動かないから(暖房がないと)けがが怖い。畳が古かったり環境が整っていない可能性もある」と他会場開催となる場合の環境の変化を懸念している。
同館関係者は「武道の拠点施設としてずっと使えるようにするには工事は必要。工事に向けては武道団体からの要望も聞いていただき、今よりも安全で快適な場所にするためのもので、休館期間についての理解と協力はお願いしたい」と呼びかけている。
県スポーツ振興課によると、第2期大規模改修工事の工事請負費などとして24年度については一般会計当初予算に7億4696万円を計上している。