埼玉県内公立高校入試の合格発表が8日、各校で行われた。新型コロナウイルス対策のため、午前9時からウェブで発表し、学校では同10時から補足的に掲示を行うよう発表方法が変更された。熊谷市の県立熊谷高校では、渡り廊下の2階から掲示板が出されると、数人で見に来た受験生の一人がスマートフォンのズーム機能で仲間の番号を確認し、互いの合格を喜び合っていた。

　自宅で合格を確認してから来たという菊地琥太（こうた）さん（15）は「率直にうれしかった」とはにかんだ。自宅ではガッツポーズも飛び出したというが、学校では自分の受験番号の載った掲示板を写真に収め、「入学したら剣道の部活動を頑張りたい」と静かに決意を語った。付き添った母親も「コロナ禍ですごく頑張ったと思う。ネットで合否が分かると学校でのワクワク感は減るが、がっかりしなくて済むのは良い」と笑顔で祝福した。

　父親と共に掲示板を見に来た天野翔太さん（15）は「塾の授業がなくなったり、オンラインになったり環境が変わったが、1年間頑張ってきたので、ウェブで受験番号を見つけてほっとした」と喜びをかみしめていた。

　同校では密を避けるため書類配布の受け付けを受験番号で二つに分けるなどの工夫を行った。複数人の教職員が声を掛けながら誘導し、書類を受け取る生徒同士で十分な間隔を保つことなどを呼び掛けていた。