埼玉新聞

 

「今しか見られない」戦国時代の代表的な城郭跡・鉢形城跡、想定外の「堀」発見か 説明会開催へ

  • 伝逸見曲輪地区で発見された石の斜面(寄居町提供)

 史跡鉢形城跡の保存整備を進めている寄居町は23日、城跡の発掘調査成果と現地説明会を同所で実施する。調査後は遺構保護などで埋め戻すため、「地表から見ることができない鉢形城の姿は今しか見ることができない」と参加を呼び掛けている。参加は無料。

 鉢形城跡は戦国時代の代表的な城郭跡。1476(文明8)年に関東管領だった山内上杉氏家臣の長尾景春が築城したとされ、後に小田原の北条氏康の四男・氏邦が整備拡大したとされている。1932年に国指定史跡になった。

 同町は2017年度から発掘調査を実施。本年度は江戸時代の絵図に「大手」と記載されている伝逸見曲輪(くるわ)地区で進めていた。

 調査により、曲輪の構築は盛土による大規模な造成工事が行われたことが明らかになってきたという。

 地表面から確認することができないため、存在自体を想定しなかった堀と考えられる遺構も見つかった。石に覆われた平場の斜面では石を利用してスロープや階段など出入り口のような施設として使っていたのではないかと推測している。

 町文化財班では「現在想定されている鉢形城の姿と違っていることが分かってきた」とポイントを説明。

 伝逸見曲輪地区は最後の城主北条氏邦の入城と前後して整備されたと考えられてきたが、今回見つかった大規模な造成土の下から氏邦が入城する前の遺構や遺物も発見され、氏邦が入城する前から同地区が機能していた可能性も高くなったとしている。

 説明会は午前10時~同11時と午後1時~同2時の計2回。鉢形城公園三の曲輪駐車場に集合する。当日会場へ。少雨決行、荒天中止。

 問い合わせは、町文化財班(電話048・581・2121、内線535)。当日は鉢形城歴史館(電話048・586・0315)へ。

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