まひして…春日部市議が作るはずの原稿、市が作成 市議そのまま読み上げ長年討論「おかしいと思ったが」
2021/03/10/00:00
埼玉県の春日部市議が議会で討論する際の原稿について市職員が作成していたことが8日、分かった。依頼を受けた各部署が、業務中に作業を行っていたという。市は「長年の慣行だったが明らかに誤解を招く」として作成をやめた。
市が提案した議案は、勉強会などを通じ議員が賛成か反対かを判断し議会の委員会や本会議で賛成反対それぞれの立場から意見を述べ、討論を受け採決する。市は長年にわたり、議員が作成するはずの討論原稿を市側が作成していた。一部の議員は原稿をそのまま読み上げていたという。
市によると、議案提出前後に、政策課が庁内のメールを通じ各部署に賛成討論の原稿作成を依頼し、業務中に幹部が作成していた。反対討論や一般質問の原稿は作成していないという。
原稿を読んだことがあるという市議の一人は取材に「初めはおかしいと思ったが、長年の慣れで、議会の中では暗黙の了解だった。まひしていたと言われてもしょうがない」と話した。
昨年秋、市職員で構成する労働組合から「議員が書くべき原稿を公務員が公然と業務時間中に作成することは許されない」などの指摘を受け、市は原稿作成をやめた。当初予算案など議案が多い3月議会では、業務の軽減も図れたという。
市政策課は「かなり前から慣行になっていた。議案を正しく伝えるための資料として作成していたが、明らかに誤解を与える内容だった」としている。