嫌がらせする詐欺仲間を刺殺…少年に懲役7~12年の判決 地裁、強固な殺意指摘も「更生を期待」
2021/03/12/00:00
昨年4月に同じ特殊詐欺グループの男性を殺害し、埼玉県和光市内に止めた車内に放置したなどとして、殺人と死体遺棄、窃盗、詐欺、詐欺未遂の罪に問われた東京都台東区の無職少年(19)の裁判員裁判の判決公判が11日、さいたま地裁で開かれ、田尻克巳裁判長は懲役7年以上12年以下(求刑懲役10年以上15年以下)の不定期刑を言い渡した。
判決理由で田尻裁判長は、少年があらかじめ購入した包丁で男性の首などを複数回突き刺し、深い傷は約11センチに及んでいることなどから、「犯行は強固な殺意に基づき、危険かつ執ようで悪質」と指摘。「被害者は無残にも車に放置され、変わり果てた姿となった。結果は重大」と述べた。
一方、少年が男性から数々の嫌がらせを受けており、「理不尽な言動が被告を追い詰めた。被害者の落ち度は大きい」と認定。他にも父親から虐待を受けるなど、犯行には「成育歴や家庭環境が一定程度影響している」とした。
その上で、両親が更生を助けると誓っていることや少年の年齢などを踏まえ、「矯正教育を受ける中で改善更生を期待する」として、懲役7~12年が相当と述べた。
判決によると、少年は昨年4月13日、特殊詐欺グループの拠点だった東京都板橋区のマンションで、住所職業不詳の岩渕和政さん=当時(31)=を包丁で刺殺。仲間の男(24)=死体遺棄罪などで実刑判決=と共謀し、盗んだ車に遺体を乗せて和光市の駐車場に遺棄した。さらに複数の高齢者にうその電話をかけ、現金400万円をだまし取るなどした。