埼玉新聞

 

<新型コロナ>花見シーズン15万人集まる大宮公園「対策、自粛して」 熊谷桜堤、権現堂も呼び掛け

  • 園内には一方通行の看板が設置され、多くの人が歩きながら桜を観賞した=18日午後2時半ごろ、さいたま市大宮区の大宮公園

 約2カ月半に及んだ首都圏の緊急事態宣言が21日で解除されることになった。県内の花見の名所では既ににぎわいが戻りつつあり、自治体などは花見の宴会や飲食の自粛を呼び掛ける。感染者が下げ止まらない中での解除に、経済界は警戒感を示し、県民からは新たな対策を求める声も挙がった。

 花見シーズンには約15万人が訪れるさいたま市大宮区の県営大宮公園。桜はまだ一分咲きだが、春の訪れを感じようと多くの人が歩きながら桜を観賞した。今年はコロナ対策のため、園内を一方通行にして飲食も原則禁止。夜間のライトアップも中止とした。

 約半世紀前から園内で売店「おぐま」を営む小熊美恵子さん(72)は一番の書き入れ時を前に、「宣言が解除されるのは店として大歓迎だが、もう一度コロナ対策をしっかり考えることが大切」と話す。昨年の売り上げは6~7割減。店を閉めようかと悩んだ時もあったが、常連客に支えられのれんを守る。「桜は毎年必ず咲く。多くの人が晴れやかな気持ちになって花見を楽しんでもらいたい」とコロナの収束を期待した。

 長男らと訪れ、記念撮影していた西区の飯島かほりさん(35)は「宣言がだらだらと続くよりは区切りをつけるべき。花見も混むのは心配だが、感染対策やルールをしっかり守って楽しめばよいのでは」と話していた。

 県内有数の桜の名所、熊谷桜堤がある熊谷市。感染防止のため、今年の「熊谷さくら祭」の中止を決めているが、緊急事態宣言の解除で花見客が大勢訪れることも想定し、市は桜堤での宴会や食事の自粛を呼び掛けている。

 桜堤は2019年に約16万5千人の花見客が訪れた名所だが、昨年は「さくら祭」を中止に。今年もライトアップなどは行わない。桜堤に宴会自粛の表示をし、ホームページなどでマスク着用で歩いて花見をすることを呼び掛けている。市スポーツ観光課の職員は「立ち入りを規制するのは難しく、自粛を呼び掛けるしかない」と言う。

 一方、熊谷市観光協会では市内各地の桜を会員制交流サイト(SNS)に投稿してもらうフォトコンテストを開催。事務局長の金子克彦さん(51)は「自宅の近くや穴場の桜を投稿してもらい、今年は(ネットを通じて)ステイホームで花見を楽しんでほしい」と話した。

 鶴ケ島市運動公園では、暖かな陽気に誘われ、1歳の長男と妻の3人で訪れた川越市の小売業男性(33)は「危機感なく、だらだらと宣言を継続するなら延長を続けても仕方ない」と話す。「解除するにしても、感染を防止するための新たな規制や対策を強化する必要がある」と注文した。

 木陰のベンチで友人と休息していた近所の女性(80)は「首都圏で埼玉は比較的まだ感染者が多い。もう少し延長しないと怖い」と話していた。

■桜の名所での飲食、宴会の自粛呼び掛け

 県は新型コロナウイルス感染拡大を防止するため、県営公園や県管理河川敷、農林公園などでの飲食を伴う花見、宴会などの自粛を呼び掛けている。

 桜の開花時期に合わせ、例年、大勢の花見客でにぎわう場所で、立ち止まらずに花見を楽しむことや、長時間滞在する飲食自粛を訴える。

 大宮公園(さいたま市)や権現堂公園(幸手・久喜市)、所沢航空記念公園では園内で通行規制を実施するほか、露店の出店、夜間ライトアップをしない。

 新河岸川沿い(川越市)、忍川の桜並木(行田市)、元荒川桜堤(越谷市)など県管理河川敷や、県農林公園(深谷市)、県民の森(横瀬町)などでも看板やポスターを掲示し、飲食を伴う花見や宴会の自粛などを呼び掛ける。

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