男女死亡ショック「2人が車の下敷き」、担架で運ばれる姿…施設で送迎車にはねられる 運転手に懲役3年6月、執行猶予を求めていた弁護士「免許は取り消され再犯ない」 若く見られたかった運転手、年齢ウソ…免停も
さいたま市見沼区の通所介護施設で昨年9月、利用者2人を送迎車ではねて死亡させたなどとして、過失運転致死傷と偽造有印公文書行使の罪に問われた、さいたま市岩槻区の自動車運転手窪島達郎被告(75)の判決公判が22日、さいたま地裁(金子大作裁判長)で開かれ、金子裁判長は窪島被告に懲役3年6月(求刑・懲役4年6月)を言い渡した。
金子裁判長は判決理由で、窪島被告が自動車の運転における基本的で重要な注意義務を怠ったとし、過去に複数の交通違反により運転免許停止処分を受けていたことなどに触れ「交通の安全を確保する意識が低かった」と指摘。同施設の採用面接時に年齢詐称の発覚を免れるため、偽造された運転免許証を提出したことについても「身勝手で短絡的」と非難した。
弁護側は、送迎時間が通常よりも遅れて焦っていたことが結果的に誤操作につながってしまったとして、「全ての罪を認めており、深く反省している。今後運転免許証も取り消しになるため、再犯の可能性もない」と主張し、執行猶予付きの判決を求めていた。
判決によると、窪島被告は昨年9月13日、自身が勤務していた通所介護施設の敷地内で、送迎車両のブレーキペダルに乗せていた足を滑らせてアクセルペダルを踏み、通所者ら3人をはね、うち2人を死亡させて1人にけがを負わせた。また、同施設の採用後に自身の生年月日などが偽造された運転免許証のコピーを提出した。
■「免許証」偽造し若く見せる すでに交通違反4度(以下、初公判記事)
さいたま市見沼区の通所介護施設で昨年9月、利用者2人を送迎車ではねて死亡させたなどとして、過失運転致死傷と偽造有印公文書行使の罪に問われた、同市岩槻区、自動車運転手の男(75)の初公判が21日、さいたま地裁(金子大作裁判官)で開かれ、男は「(間違い)ありません」と起訴内容を認めた。
冒頭陳述で検察側は、男が2018年~22年までの間、4度の交通違反をしていたと説明。また、偽造された免許証のコピーを同施設に提出した理由について「年齢を若く偽った方が採用される」と考えていたと指摘した。
起訴状などによると、男は昨年9月13日、自身が勤務していた通所介護施設の敷地内で送迎車両を運転して通所者ら3人をはね、うち2人を死亡させて1人にけがを負わせた。また、同施設の採用後に自身の生年月日などが偽造された運転免許証のコピーを提出したとされる。
■2人が車の下敷き、職員は自力で脱出(以下、初報記事)
2023年9月13日午後4時20分ごろ、さいたま市見沼区深作2丁目の介護施設の駐車場で送迎車に男女3人がはねられた。この事故で車の下敷きとなった施設利用者の無職男性(89)=さいたま市見沼区島町=がその場で死亡が確認され、無職女性(88)=同区堀崎町=が搬送先の病院で死亡した。施設職員の男性(43)は軽傷だった。
大宮東署は、自動車運転処罰法違反(過失傷害)の疑いで、車を運転していたアルバイトの男(75)=さいたま市岩槻区本町3丁目=を現行犯逮捕。容疑を過失致死傷に切り替えて調べる。
署によると、車は3人をひいた後、バリアフリースロープに前部が乗り上げ、壁にぶつかった。施設の女性職員から「送迎車と歩行者の事故で歩行者3人が負傷して2人が車の下敷きになっている」などと通報があった。職員の男性は車の下敷きとなったが、自力で脱出したとみられる。男は調べに対し、容疑を認めているという。
送迎中の事故とみられ、署が詳しい原因を調べている。
現場は東武野田線岩槻駅から西へ約2キロの住宅街。
■憩いの場が一変 近隣住民の声
近隣住民も突然の事故に表情を曇らせた。被害者が担架で運び出される様子を目撃した40代女性は「いつも駐車場にある椅子に腰をかけながら、利用者の方とスタッフの人が楽しそうに話をしていた」と話し、憩いの場が一変したことに驚きを隠せなかった。