埼玉新聞

 

中1自殺、高層住宅から転落…所沢 第三者委「遺書なく原因特定困難」 遺族「学校と担任に問題が」

  • 会見する所沢市教委の大岩幹夫教育長(左から2人目)ら=23日午後2時35分ごろ、所沢市役所

 2018年7月に埼玉県所沢市立中学に通う当時1年生の男子生徒が自殺した問題で、市教育委員会は23日、第三者委員会(委員長・菅野純早大名誉教授)の最終調査報告書を公表した。報告書は原因を特定するのは困難とし、「中学校生活の義務的な閉塞(へいそく)感や当時の担任から指導を受けていたことなどが複合しながら徐々に問題が進行していったと考えられる」と指摘した。調査報告書の素案ではいじめが認定されていた件は、「いじめに該当するとの明確な結論にまで至らなかった」とされた。

 会見には所沢市の大岩幹夫教育長、報告書をまとめた第三者委の菅野委員長らが出席。大岩教育長は「尊い命を救うことができずおわび申し上げる」と謝罪し、「報告書の内容を真摯(しんし)に受け止め、内容を精査し、改善点については当該中学校のみならず市内全小中学校の課題と受け止め再発防止に努める」とした。

 報告書では自殺の原因について、「遺書等が残されていない中、因果を同定することは困難」とし、「中学校生活での義務的な閉塞感や大人社会への批判、担任から指導を受けていたことを『理不尽』と感じていたなど多様な要因が複合しながら問題が進行した」と指摘した。

 昨年11月に遺族に示された調査報告書の素案では、いじめを認定していたが、遺族への聞き取りや調査を進めた結果、「いじめに該当するとの明確な結論にまで至らなかった」と改めた。

 男子生徒の遺族は報告書とともに公開された所見で「この中学校と担任には多くの問題点があり、その問題点を放置している体制が見てとれ、それが息子が自死に至る要因であったと遺族として受け取ろうと思います」と述べている。

 男子生徒は18年7月17日午前8時5分ごろ、市内の高層住宅から転落し死亡した。男子生徒の荷物が踊り場にあったなどの状況から自殺と判断された。

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