埼玉新聞

 

「荒川」実は全国に…寄居の博物館が“地名大調査” 共通項は暴れ川 「長瀞」「吹上」「川口」も各地に

  • 全国の地名をパネルや写真で紹介している企画展示「川にまつわる地名大調査」=埼玉県寄居町小園の県立川の博物館

    全国の地名をパネルや写真で紹介している企画展示「川にまつわる地名大調査」=埼玉県寄居町小園の県立川の博物館

  • 全国の地名をパネルや写真で紹介している企画展示「川にまつわる地名大調査」=埼玉県寄居町小園の県立川の博物館

 埼玉県寄居町小園の県立川の博物館で企画展示「川にまつわる地名大調査~長瀞・吹上・川口は埼玉県だけの地名?」が、6日まで開かれている。日本各地に点在する「長瀞」「吹上」「川口」の地名と「荒川」について、名前の由来などをパネルで紹介している。

 展示に当たって、さまざまな地図サイトで、埼玉県内の川にまつわる地名と共通するものを抽出。集まったデータを地名辞典などで詳しく調べたという。この結果、「荒川」は青森県から沖縄県石垣島まで33あることを確認。川が合流したり、山間部から急激に下るなどして、暴れ川が多いという。

 興味深いのは「長瀞」。漢字違いも含めると全国に16カ所ある。長瀞町の長瀞は、長くゆったりとした川の流れに由来しているが、岐阜県高山市の「長淀(ながとろ)」も「長く青くよどんだ淵」という意味。その一方で東北地方に分布する「ながとろ」は湿地帯などに多く、こちらの意味は「長泥」。洪水で泥に覆われてしまう地形らしい。

 「吹上」は全国で55カ所を紹介。鴻巣市の吹上は地下水は豊富で、昔は50センチほど掘るだけで水が湧き出たという。水が吹き上げる場所のほか、台地の縁などで風が強く吹き上げる場所にもこの地名が多いという。

 展示を担当した学芸員の羽田武朗さん(42)は「地名は暴れ川や強風などその土地の特徴が由来しているものが多く、人々の目に見えない苦労がにじみ出ていることを知ってほしい」と話していた。

 問い合わせは、同館(電話048・581・7333)へ。

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