埼玉新聞

 

酒蔵レストラン4月3日オープンへ 小川の松岡醸造、土蔵改良して 客、バス会社、旅行代理店から強い要望

  • 松岡醸造が4月3日から始める予約制の和食レストラン「酒蔵レストラン松風庵(しょうふうあん)」=小川町下古寺の松岡醸造

 地酒醸造の松岡醸造(小川町下古寺)は、敷地内にある明治時代に新潟県から移築した土蔵を増改築し、4月3日から予約制和食レストラン「酒蔵レストラン松風庵(しょうふうあん)」を始める。新たに運営会社「合同会社松風」を立ち上げた。限定地酒や、肉や野菜など県産食材を自社の地酒や米麹(こうじ)、仕込み水で調理した料理を提供。酒蔵見学、昼食休憩、自社直売所の利用をセットにして集客を図る。

 主要客層には団体客を想定し、旅行代理店やバス会社などに、日帰りツアーなどの企画に組み込むよう、営業を開始した。新会社の松岡卓代表社員は「1日に最大団体客2組計80人程度、月間売上高280万円を目指して、集客に努めたい」としている。

 店舗は同社敷地内の日本庭園内にあり、土蔵は改修した。店舗面積は45平方メートルで、イス席46席で営業する。

 提供するのは、長島養豚(深谷市)のむさし麦豚や深谷ネギを使うしゃぶしゃぶなど6種のしゃぶしゃぶと3種の利き酒がセットの「しゃぶしゃぶ膳」(税込2700円)。飲酒しない人向けの対応も行う。

 利き酒は主力の吟醸酒「社長の酒」やレストランのみの限定酒などを提供する。しゃぶしゃぶの出汁(だし)は、地酒の仕込み水と大吟醸を合わせて作る。しゃぶしゃぶ用のタレも自社の米麹や酒粕(かす)を使用し、酒蔵で作る料理の利点を訴求した。今後も大吟醸、米麹、酒粕を使ったモツ煮などの提供を予定する。

 開店に至ったのは、酒蔵見学に訪れる観光客らの強い要望だ。松岡醸造には都内などから40人規模の団体客の酒蔵見学が、毎月4~5件ある。その多くから「見学後に地酒を飲みながら食事したい」「地酒を使った料理を食べたい」などの声が届いた。バス会社や旅行代理店からも同様の意見があったという。そのため、食事提供が酒蔵見学の見学者増加につながるほか、自社製品の売上拡大につながるとみて、開業を決めた。

 現在、酒造見学での実績がある旅行代理店などに営業を始めた。「秩父や群馬方面への日帰りバスツアー企画の昼食と酒造見学場所として提案していて、反応は上々」という。また同町周辺には、自動車関連の大規模製造拠点があり、海外からも出張者が多数訪れる。海外の出張者らは日本の酒造文化への関心が高いとみて、出張者らの集客も図る。

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