「ヤクルト」「セコム」「丸和」 芽吹く新勢力 熊谷だけじゃない!高まる埼玉のラグビー熱 地元密着で盛り上げる
18日に行われたラグビーのリーグワンプレーオフ準決勝で埼玉パナソニックワイルドナイツが横浜キヤノンイーグルスに20―17で勝利し、決勝進出を決めた。王座奪還に向け、ホームタウンの埼玉県熊谷市を中心に県内のラグビー熱が高まる中、新たに芽吹き始めている勢力たちに迫った。
■リーグワンに2チーム
地域社会人リーグのトップイースト・Aグループに所属していたセコムラガッツ(狭山市)とヤクルトレビンズ(戸田市)が、2024―25シーズンからリーグワンに新規参入することが決定。来季からは戦いの場を変え、ディビジョン3(3部)に挑戦する。
両チームは、昨年9~12月に行われたトップイースト・Aグループのリーグ戦で活躍。ヤクルトは7勝1敗の勝ち点33で1位、セコムは5勝3敗の同27で2位に入り、審査の結果、参入が決まった。
23年2月、リーグワンが新規参入チームを受け入れる方針を発表。参入条件として地域リーグなどでの戦績、戦力(40人以上の選手を有すること)、3千人以上収容可能なホストスタジアムの保有、財務の安定性確保などの条件が挙げられていた。
■万全の体制で参入準備
13年に発足したAZ-COM丸和MOMOTARO'S(吉川市)は、リーグワン参入を狙う県内社会人チーム。22年にトップイースト・Bグループで初年度優勝し、23年にはBグループを2位で通過、入れ替え戦に勝利し、次シーズンからは同Aグループに初挑戦する。
3月には新体制と新チーム名を発表。NEC(現東葛)や日野自動車(同日野)で監督を歴任した細谷直氏(59)がゼネラルマネジャー(GM)兼監督に、元日本代表の伊藤宏明氏(48)がヘッドコーチに就任した。また、15年のワールドカップなど日本代表44キャップの木津武士氏(35)がプレイングコーチとして現役復帰するなど、万全の体制でリーグワン参入に向けた準備を進める。
セットプレーを中心に接点にこだわったチームづくりに力を入れる細谷GM兼監督は「今年の目標はAグループで戦うだけでなく、上を見据えた戦い方をすること。一人一人貪欲に取り組んでくれている。ラグビーを通して、吉川市、埼玉東部を盛り上げていきたい」とリーグワン1部まで上り詰める構想を力強く語る。
■埼玉を盛り上げて
丸和の選手たちは週3日、半日勤務した後に3~4時間の練習に励み、土日には練習試合を行うなど働きながら鍛錬を積む。オフシーズンには地域のマラソン大会などイベント運営のボランティアや交通安全などの啓発活動、ラグビーの体験教室を行うなど地域貢献を通して応援されるチームを目指す。
丸和の藤山裕太朗共同主将(28)は「新体制になってサポートも厚くなった。リーグワンまで一気に駆け上がりたい」と意気込む。プロップの釜谷慎司選手(23)=吉川市出身、昌平高出=は「地元にラグビーチームがあるのは珍しい。子どもたちに頑張っている姿を見てもらって、ぜひ応援してもらいたい」と地元のファン増加に期待する。
埼玉パナが本拠地を熊谷に移して3年。新勢力が台頭し始めたうれしいニュースに、県ラグビー協会の新井均理事長(63)=熊谷市出身、行田工(現進修館)高出=は、「(丸和には)ぜひリーグワン参入を目指してもらいたい。地元密着のラグビーチームとして、4チームで埼玉全体を盛り上げてほしい」。新たな風が吹いたことで、県内ラグビー界がより一層熱を帯びそうだ。