埼玉新聞

 

暴走した飲酒運転の車…夫婦死亡、生活が手につかなくなった遺族の思い 妻子亡くした夫「悲惨です」

  • 「悲惨な事故減らして」遺族の思い

 「関東交通犯罪遺族の会(あいの会)」代表の小沢樹里さん(40)=東松山市=が19日、アサヒ飲料関東支社(さいたま市大宮区)の社員を対象に、オンライン講演を行った。小沢さんは「被害に遭った遺族の生の声を聞くことで、悲惨な事故を少しでも減らしていければ」と話した。

 2008年2月、熊谷市の県道で、飲酒運転の暴走車による事故が発生。小沢さんの夫の父義政さんと母雅江さん=いずれも当時(56)=が死亡、夫の弟、妹も重体、重傷を負って障害を抱えた。小沢さんたちは報道被害も受け、日常の生活が手につかない日々が続く。暴走車の運転手や同乗者、酒を提供した飲食店主らは有罪判決を受けた。

 小沢さんは「小さな事故だから良いという思いを捨ててほしい。もしかしたら、あなた自身が家に帰れなかったかもしれない。大切な人が帰りを待っていると思うので、講演の内容を共有してほしい」と訴えた。

 19日は東京・池袋の車暴走事故から2年。妻の真菜さん=当時(31)=と長女莉子ちゃん=同(3)=を亡くした松永拓也さんは、あいの会で活動しており、小沢さんは講演の中で、松永さんのコメントを読み上げた。「交通事故は悲惨です。身を持って体験しました。誰もがこのような体験をしてほしくありません。会社の中で意識や制度、車の技術を向上させていき、一つでも、小さな事故であってもなくしてほしい」

 講演は新型コロナウイルスの感染防止のため、テレビ会議システム「Zoom(ズーム)」で行われ、同支社の社員ら約50人が視聴した。企画した同支社の増田爽佑さん(28)は「小沢さんの思いと支社の事故を撲滅したいという内容が一致して、講演会をお願いした。交通事故により大切な人を失う。苦しんだ遺族の生の声を聞き、車を運転する社会人として、注意しなくてはいけないと強く感じた」と話していた。

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