「驚いた」校庭に珍しい花、顔を出す 埼玉・上尾の小学校に絶滅危惧種のキンラン、今年も100株以上確認
2021/04/25/00:00
上尾市の平方北小学校(中島晴美校長、児童数133人)の校庭に珍しい花が顔を出した。ラン科のキンランで、絶滅危惧種(埼玉カテゴリー1B種、全国カテゴリーII類)として分類されている。
キンランは同校の学校応援団(学習活動、安心・安全確保、環境整備などについて協力支援を行うボランティア)の泉田智宏さんが昨年4月草刈りの際に発見した。
「アズマネザサを刈り取ったら隠れていた黄色い花が見えて、もしかしたらキンランかもと思った」と泉田さん。同じく応援団のメンバーで県自然学習センター指導員の荒木三郎さんに確認してもらったところ、キンランと判明。荒木さんは「2019年ごろから校庭の片隅に点々とあった。平地に群生したキンランの開花は珍しく驚いた」と話す。昨年は約120株を確認し、20株程度が花を咲かせた。
県生態系保護協会生態系調査室の熊谷雄介室長によると「キンランは菌根菌という菌を介して樹木とつながっており、栄養と光合成のギブ&テークのやりとりをしている。むやみに移植しても菌がないので枯れてしまう。現場で静かに見守ってもらいたい」という。
キンランはかつては雑木林などでよく見られた和ランの一つ。開発などで自然環境が変わるにつれ減少し、1997年から環境省レッドリストに指定された。平方北小のキンランは、今年も100株以上確認され、現在見頃を迎えている。
中島校長は「応援団の方々の協力で豊かな自然教育ができているので、今回素敵なことが起きた。子どもたちの安全のために、開放はできないが、日にちを設定して保護者や一般の人にもに見てもらう機会が作れたら」と話している。