生活保護費奪った元部長に4720万円請求 市が和解案 督促に返答なく訴訟手続きへ
2024/05/27/10:32
和光市の元保健福祉部長(60)=有罪確定=が生活保護受給者から預かった現金をだまし取った事件を巡り、市は26日、被害者が市に約7400万円の損害賠償を求めた国家賠償訴訟の和解が成立したことを受け、市民文化センターで市民説明会を開催した。市は刑事事件の概要と経過、国賠訴訟の和解に至る経緯を説明するとともに、国賠法の求償権に基づいて元部長に和解金を請求していることを明らかにした。
説明会には市民ら約100人が参加。市民からは「謝罪せずに退職金を受け取って辞職した前市長の監督責任をどう考えるのか」「事件の要因を解析し、具体的な再発防止策を職員に徹底してほしい」など、意見や質問が相次いだ。
市によると、元部長は認知症の夫妻から預かった約300万円を横領した上、預かったキャッシュカードから6500万円を引き出していた。夫妻は2022年6月、市を相手取り、国家賠償訴訟を起こし、さいたま地裁の提示した4870万円の和解案で市と合意。市議会は23年12月、市長らの謝罪と説明責任を果たす付帯決議とともに和解案に同意した。市は24年1月に和解金を支払うとともに、同月に「元部長に重大な過失がある」と、国賠法に基づき、元部長に和解金からすでに返還されている分を差し引いた4720万円を請求した。
元部長からは2月の期限までに回答はなく、督促にも返答はないという。督促から1年たっても履行されない場合、市は訴訟手続きなどを検討するとしている。