埼玉新聞

 

54年の歴史に幕、小川・中央公民館が閉鎖へ かつて文化・商工の拠点、年間延べ約2万7千人が利用

  • 今月末で閉鎖される小川町中央公民館=小川町大塚

  • 最後の利用団体として活動する小川書道会=16日、小川町中央公民館和室

 小川町大塚の小川町駅前通りの一角にあり、町中央公民館兼商工会館として建設された建物が閉鎖される。1960年代から70年代にかけ、町の文化・商工の拠点だった。建設から半世紀を超え、耐震や公共施設の見直しなどを理由に、今月末で54年の歴史に幕を閉じる。

 同館が建設されたのは1965年7月。建物は鉄筋コンクリート、地下1階地上3階で延べ床面積は920平方メートル。当時は1階に事務室、洋間、和室、結婚式場、講座室、料理実習室、物産展示ホールなど、2階は事務室、ステージ付き大会議室、3階が図書館だった。

 総事業費は約3千500万円。大部分は篤志家の寄付によるものだった。

 当初は最も大きな公共施設で、町の大きな行事はここで行われていた。82年に町民会館(リリックおがわ)が、その後、町立図書館が開館するまで、まさに小川町の文化の"殿堂"だった。

 近年、中央公民館は生涯学習の拠点として、2階は町商工会として活用されてきたが、3年前から耐震構造の問題や町内の公共施設の管理運営計画の一環で、建物の閉鎖や施設の移転が検討されてきた。すでに町商工会は役場そばの元三協織物に移転。中央公民館は4月1日から、町民会館1階に移る。

 中央公民館は95団体が登録。そのうち各サークル・クラブは50団体が活動、年間延べ約2万7千人が利用していた。

 同館の利用者の最後の団体は「小川書道会」。月3回、毎週土曜日に活動し、50年以上の歴史がある。講師の山崎卓男さん(74)は「長年、利用してきただけに寂しい気がする。できるものならここで続けたいが、耐震の問題もあるので」と話す。

 会員の関根芳江さん(83)は「書だけではなく、社交ダンスや七夕展をやったり、若い時からの思い出がたくさん残っている。寂しいし、残念です」と振り返る。

 小林きんさん(75)は「(昔は)町の大きなイベントはここでやってきた。町の拠点だった。オープンした翌年、式場があって、ここで結婚式を挙げた。パーマや着付け、料理や写真も周辺の店で賄えた。長い間、感謝です」と話した。

 同町によると、今後の跡地利用は未定という。

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