創業130年の味、通販で好調 幸手・老舗ウナギ料理店「義語家」 小骨溶けるほど柔らかい身に秘伝のタレ
2021/04/30/00:00
幸手市にある創業130年を超える老舗ウナギ料理店「義語家(ぎごや)」は、明治20年頃に日光街道沿いにあった「知久家本陣」の跡地を買い取り営業を始めた。料理屋や旅館など業態を変えながらも、ウナギを扱う技と秘伝のタレを受け継いでいる。
「息子が店を継ぐまでの中継ぎです」。店主で自らウナギをさばき、焼く小林麻美子さん(44)は、笑いながら「割烹・義語家 中継ぎ六代目」と書かれた名刺を差し出した。当初、手伝いで始めた家業も次男の寿晴(すばる)君(11)が「店を継ぐ」と主張したため、成長するまでの中継ぎになればと本腰を入れた。「ウナギは身が崩れる寸前まで蒸してかば焼きにするので、小骨も溶けてなくなるほど柔らかい」と伝承の技に胸を張る。
しかし、時代の変遷とともに食生活も変わり、ウナギの原価も高騰したことで、客足も減り続けている。「出前に割ける人手もいない。このままでは店が立ち行かなくなる」。危機感を抱いた小林さんは、他店が通信販売を手掛けていることを知り、6年ほど前から導入準備に着手。試行錯誤の上、焼きたての状態をそのまま閉じ込めた真空パックの商品開発に成功した。2年前には市のふるさと納税返礼品としても取り扱われるようになり、「新たな事業の柱にしたい」と、経営を支える夫の誠史さん(45)も意気込みを見せる。
コロナ禍により「巣ごもり」が長引く中、通販の利用が伸びてきた。昨秋に市が実施した商品券事業期間には、繁忙期と見紛うほど、売り上げが伸びたという。当初反対していた父親の勝哉さん(74)も理解してくれるようになった。「歴史あるのれんは残していきたい」。時代に即した柔軟な対応で次代へとバトンをつなぐ。