川口市幸町3丁目の路上で29日夜、タクシー運転手の男性（72）＝栃木県足利市＝が男に脅された上に拳銃のようなもので撃たれ重傷を負った事件で、川口署特別捜査班は31日、強盗殺人未遂の疑いで、無職の男（68）＝川口市栄町3丁目＝をJR大宮駅構内で確保し、逮捕した。「金を奪おうと思ってはいなかったが、ピストルを撃ったことは間違いない」と容疑を一部否認しているという。

　逮捕容疑は29日午後11時38分ごろ、同所の路上に停車中のタクシー内で、運転手の男性に対して拳銃のようなものを突き付け「金を出せ」と脅迫し、殺意を持って発砲。男性の腹部に4週間の重傷を負わせた疑い。

　県警によると、男は29日午後11時半ごろ、JR赤羽駅（東京都北区）付近で男性が運転するタクシーの後部座席に乗車。3キロほど離れた事件現場付近へ向かうように指示し、停車させると、車内で男性に対して「金を出せ」と脅迫。その後、男性に拳銃のようなものを発砲した。2人に面識はなく、男性の命に別条はないという。

　男は犯行後、駆け足で南東方向へ逃走。県警は周囲の防犯カメラやタクシーのドライブレコーダーの映像などから男の犯行を特定し、同容疑で逮捕状を取り全国に指名手配するとともに、男の自宅を家宅捜索していた。捜査関係者によると、自宅からは拳銃の実弾一つを発見、押収した。

　その後の捜査で、男が福島県内の知人女性宅に立ち寄っていたことが判明した。31日午後には、福島市のJR福島駅付近の防犯カメラに写っていることも分かり、新幹線でJR大宮駅へ向かったことを特定。降車したところを待ち構えていた捜査員に確保された。その後、同駅付近の県警鉄道警察隊への任意同行後に逮捕された。

　男は確保時、凶器の拳銃のようなものを持っておらず、県警の取り調べに対して「捨てた」などと供述しているという。県警は所在や入手経路についても捜査するとともに、犯行動機や経緯などを詳しく調べる方針。