埼玉新聞

 

<新型コロナ>ワクチン接種予約が殺到 電話やHPつながりにくく苦情も相次ぐ「こうなると分かっていた」

  • 浦和区役所のワクチン接種相談窓口を訪れ、接種券の届く時期などを相談する70代男性(右)=10日午後、さいたま市浦和区

  • 訪れた高齢者(手前)からワクチン接種の希望日時や会場を聞き取りながら予約する市職員=10日午前8時55分ごろ、狭山市下奥富の前田公民館

 新型コロナウイルスワクチンの高齢者接種事業の予約が10日、県内各地の自治体で始まった。開始直後から殺到する申し込みに電話もネットもつながりにくくなる状態が相次ぎ、役所の相談窓口を訪れる人も。一方、職員を市内の公民館などに派遣して分散化を図る市もあった。

 さいたま市は10日、一般高齢者向けの新型コロナウイルスワクチン接種の予約を開始した。85歳以上(約5万5千人)が対象で、午前9時~午後3時までに7万件以上の電話が入り、ウェブと合わせて約6900件の予約を受け付けた。接種は17日に開始する予定。市のコロナワクチンコールセンターがつながりにくく、ウェブもアクセスしづらい状態があったという。市は想定を上回ったとして、電話回線を増設するかも含めて、対応を検討するとしている。

 市保健所によると、午前9時~午後3時までで7万6782件の入電があり、対応できた件数は不明。ネットのアクセス数も不明としている。コールセンターは166回線で、予約と問い合わせの両方に対応している。電話がかかりにくい状態があり、「現在、大変混み合っています」とアナウンスが流れるなどして、同じ人や家族が複数かけた可能性もあるという。市保健所には、「電話がつながりにくい」など苦情の電話が少なくとも70件以上あったという。

 予約は今後、17日に80~84歳(約5万3千人)、24日に75歳~79歳(約6万4千人)を対象に受け付けを開始するため、さらに入電やアクセスが増えると見込まれる。

 浦和区役所のワクチン接種相談窓口にはこの日、19組20人が訪れた。1人暮らしの高齢者もいて、「電話がつながらない」「自分ではネット予約ができない」などの相談のほか、区役所で予約の手続きが可能と思って、訪れた人もいたという。

 南区の自営業女性(63)は、同居する父親(93)の接種予約をしようと、開始時間の午前9時から電話やネットで予約をしようとしたが、全くつながらないため相談に訪れた。女性は「父には私がいるけれど、1人暮らしのお年寄りで頼れる人がいない人は不安だと思う。こうなることは分かっていたのだから、もう少しやり方があったのではないか」と話していた。

 問い合わせ・予約は、市コロナワクチンコールセンター(電話0570・028・027=午前9時~午後5時、ファクス0570・020・810)へ。

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