認知症本人を「大使」に任命 さいたま市、患者3万人以上 全国政令市で初 社会変えるきっかけに
さいたま市は、認知症の人が住み慣れた地域で自分らしく安心して暮らせる社会環境の創出を目指し、7月1日に「市認知症フレンドリーまちづくりセンター」を中央区に開設するのに合わせて、認知症の人本人が務める「市認知症希望大使」を任命する。全国の政令指定都市では初という。同月4日のオープニングイベント内で任命式を実施する。
大使任命は、認知症の本人が希望を持ち、前を向いて暮らすことができる姿を発信することで、市民に認知症への関心と正しい理解を深めてもらうのが目的。2人程度を任命する予定で、認知症サポーター養成講座などで自らの経験や考えを語る活動を行う。
希望大使は、国の認知症施策推進大綱で認知症の人本人からの発信の機会の拡大を施策の柱の一つと位置付けており、国や都道府県などで設置が進められている。埼玉県は「オレンジ大使」として、4人が活動している。
清水勇人市長は5月30日の定例会見で「認知症の人が生き生きと活動している姿は、認知症に対する社会の見方を変えるきっかけとなり、多くの認知症の人にも希望を与える」と述べた。
市いきいき長寿推進課によると、市内の認知症高齢者数は2023年10月1日現在、3万1千人以上と推計。毎年千人程度の規模で増えており、40年まで増加傾向が続くと見込まれている。国の統計では40年には約584万人に上るとされ、高齢者の約7人に1人に達する見込み。
認知症フレンドリーまちづくりセンターは、中央区本町東の与野本町デイサービスセンター内に共生社会の実現に向け地域、企業の取り組みや情報を集約し、情報発信、交流支援を担う相談窓口を開設する。コーディネーターや事務員のほか、認知症希望大使本人も運営に加わるという。
4日のオープニングイベントはレイボックホール小ホールで午後3~同6時。事前申し込み制で先着200人。受付期間は25日までで定員になり次第終了。参加無料。
申し込み、問い合わせは、認知症フレンドリーまちづくりセンター(電話048・816・4711、ファクス048・853・5010)へ。専用フォームからの申し込みも可能。