熊谷市で2009年に小学4年の男児＝当時（10）＝が死亡した未解決のひき逃げ事件で、県警が紛失した男児の腕時計に関する捜査書類を破棄したとして、公文書毀棄（きき）の罪に問われた、県警交通捜査課の男性元警部補（63）の第4回公判が20日、さいたま地裁（任介辰哉裁判官）で開かれた。

　上司だった男性元警察官が証人で出廷し、元警部補が腕時計の紛失に気付きながら報告しなかったことについて、「申し訳ないことをしたと話していた」と証言。理由を聞いたところ、「自己保身のためだと言っていた」と説明した。

　腕時計は証拠品として登録されておらず、紛失は18年まで発覚しなかった。男性は「証拠品は、普通は登録してから保管している。突き合わせを、しっかりやっていれば良かったと反省している」と語った。

　起訴状などによると、元警部補は証拠品として押収した腕時計の紛失が発覚することを免れるため、15年9月、書類2通をシュレッダーで破棄したとされる。

　裁判を傍聴した男児の母親は「被告の自己保身に走った罪は重い。説明責任を必ず果たしてほしい」と話した。