「つばさ」市議、妨害正当化 自宅押しかけ、脅迫まがいの言動も 問責決議、報酬差し止め条例可決 朝霞市議会
朝霞市議会は6月議会初日の10日、議員のモラルや秩序などを規定した「政治倫理条例」と議員が逮捕された場合、議員報酬の差し止めなどをする「議会の議員の議員報酬等の支給の一時差し止め等に関する条例」の条例制定案2件、公選法違反容疑で代表らが逮捕された政治団体「つばさの党」に所属する外山麻貴議員(52)=2期=に対する問責決議をいずれも賛成多数で可決した。
昨年12月に行われた市議会議員選挙に絡み、同市議会は「特定の陣営が長時間にわたり、駅前を独占したり、他党の批判を続けるなどの行為があった」などとして、市民から提出された「朝霞市議会議員の秩序とモラルについて市議会での議論を求める請願」を採択した。
これを受けて、同市議会の保守系の4会派代表らが条例案を作成するとともに、この日、外山議員に対する問責決議も提出した。
決議文によると、衆院東京15区の補選を巡り、つばさの党は他候補の選挙演説への乱入や拡声器による妨害などを行い、外山議員が関与を示す動画も確認できる。同党代表らの逮捕後、外山議員は仮の代表と称し、「言論の自由だ」「不当逮捕だ」などと自らを正当化している。
■市民から請願受けて条例案(以下初報記事)
朝霞市議会(岡﨑和広議長)の最大会派を含む保守系4会派の代表らは6日、今月10日開会の6月議会に、議員のモラルや秩序などを規定した「政治倫理条例」と、議員らが刑事事件などにより逮捕などされた場合、議員報酬の差し止めや支給を停止する「議会の議員の議員報酬等の支給の一時差し止め等に関する条例」の2議案を議員提出する、と発表した。
昨年12月に行われた市議会議員選挙に絡み、「候補者を擁立した関係者らが長時間にわたり駅前を占拠したり、他党の批判を続けるなどの行為があった」などとして、市民から提出された「朝霞市議会議員の秩序とモラルについて市議会での議論を求める請願」を3月議会で採択したことを受け、条例案を作成した。
二つの条例案は市議24人のうち、議長と無所属を除く4会派の計20人が賛同、10日に可決する見通し。可決されれば、同日から施行する。
条例案を提出するのは市議会の「あさか未来」(田原亮代表)と「進政会」(野本一幸代表)、「公明」(利根川仁志代表)、「立憲・歩みの会」(黒川滋代表)の4会派。
4会派によると、政治倫理条例は審査会の設置や問責、罰則などはなく、議員のモラルに特化した理念条例。議員報酬の一部差し止め条例は、県内では議員報酬条例の中で明文化している市はあるが、報酬の差し止めや不支給だけを条例化しているのは、可決されば、さいたま市に次いで2例目という。
条例案のきっかけとなった同請願によると、昨年の12月の市議会議員選挙で、特定の陣営が数時間も駅前を独占したり、政策とは関係ない他党の非難を延々と続けたり、駅前のエスカレーターで無理やりチラシを渡そうとしたため、市民から苦情や怒りの声が上がっている。
また、昨年11月の打ち上げ花火のイベントの雑踏で政治活動を行っていた現職議員を注意したことを受け、夜間に注意した議員の自宅に押しかけたり、議場の発言を巡り、議員に対して「街宣する」「ロックオンする」などと脅迫まがいな言動を行っているという。
こうした選挙運動や言動に対して、請願は「改善策を見いだすことなく放置すれば、今後の選挙も無秩序を招き、多くの市民に迷惑をかける」と指摘し、街頭における広義の政治活動の秩序とモラルについて、倫理条例などの制定を視野に入れた市議会全体の議論を求めている。
この日、会見を行った会派の代表らは「条例ができても罰則があるわけでもない。しかし、条例を作ることで各議員が自粛した行動を取ってくれれば」などと話した。