<統一地方選>県議選の投票率、前回は過去最低 県選管、若者の選挙啓発に取り組み「関心持ち1票を」
統一地方選前半戦の県議選とさいたま市議選が29日、告示された。1947年に始まった統一選の目的は投票率向上や経費削減だったが、前回(2015年)の県議選の投票率は37・68%で過去最低を更新。今回、全52選挙区中、無投票区は過去最多の22選挙区に上った。4割を超す選挙区で有権者が1票を投じる機会が失われただけに、投票率にも焦点が集まりそうだ。県選挙管理委員会は「地域の代表を選ぶ選挙なので、関心を持って1票を投じていただきたい」と呼び掛けている。
過去18回の県議選の投票率は1951年の85・15%が最高。91年は47・27%で初めて5割を切った。第13回(95年)~第16回(07年)の4回の県議選の投票率は42~43%台で推移していたが、11年に39・54%で初めて40%台を割ると、15年は2ポイント近く減らし過去最低となる37・68%を記録した。
県選管発行の「選挙の記録」によると、前回県議選の年齢別投票率では、60代と70歳以上が50%を超えたのに対し、25~29歳が18・86%で最も低く、20~24歳が20・35%、30~34歳でも22・40%と若い世代で低調だった。
選挙権が18歳以上に引き下げられて初めて迎える県議選に向け、県選管は昨秋、平成国際大学(加須市)や埼玉大学(さいたま市桜区)の学園祭でブースを出展し模擬投票を行うなど、若者の選挙啓発に取り組んできた。県選管は「これからの社会は若い人が支えていくので、自分たちの地域、社会に関心を持って政治に参加し、投票をしていただきたい」としている。
告示後も投票率アップに向け、県立松山女子高校書道部による題字と共に投票日などを載せた狭山茶ティーバッグ「清き一杯」を約1万3千個配布するほか、選挙に関する出前講座などを行っている「選挙カレッジ生」による啓発動画を4月1日からJR(京浜東北線・埼京線)や西武鉄道、埼玉高速鉄道の車内で公開する。
埼玉大学社会調査研究センター長の松本正生教授は「自分たちが選んだ結果で議会の構成や4年間の県政の在り方が決まる。投票率を示すことで議員も責任を感じ、有権者との緊張関係を保てる。『ちゃんと見てますよ』というメッセージを込めて、1票を投じることが大事だと思う」と投票の意義を語った。