大河「青天を衝け」、注目の場面登場 草彅さんに意図を伝えず…演出の村橋氏「手応えは想像以上」
「近代日本経済の父」と称される深谷市出身の実業家・渋沢栄一が主人公の大河ドラマ「青天を衝(つ)け」。30日放送の第16回「恩人暗殺」では、徳川慶喜の側近・平岡円四郎に待ち受ける運命や新選組の「池田屋事件」など、注目の場面が数多く登場する。演出の村橋直樹氏は「円四郎をはじめ、栄一や(尾高)惇忠らがたどる出来事を多面的に描いた」と語った。
「恩人暗殺」で、篤太夫(吉沢亮)と成一郎(高良健吾)は、円四郎(堤真一)に命じられ、一橋家の兵と家臣を募るべく関東に出向く。2人はかつての同志・真田範之助(板橋駿谷)に会い、一緒に働くことを勧めるが一蹴されてしまう。血洗島村では、惇忠(田辺誠一)と平九郎(岡田健史)が水戸騒動に関わった嫌疑で連行され、惇忠は牢(ろう)に入れられる。京都では土方歳三(町田啓太)ら新選組が池田屋を襲撃。攘夷(じょうい)派志士の怒りは、禁裏御守衛総督の慶喜(草彅剛)と側近・円四郎に向かっていく。
村橋氏は「堤さんとは予期せぬ出来事をどう演じるかなど話し合った」と説明する一方で、「草彅さんにはあえて台本の意図を伝えなかった」という。「狙って技術的に組み立てたものではなく、形を超えて演技をする方なので、手応えは想像以上」
「剣を振る姿がきれい」という土方役の町田さんに関しては「実際の場面でも、相手は全く触れられず一太刀で死んでいく。美しい殺陣を目指して演じてくれた」。
主演の吉沢さんについては「根っこの部分を変えないのがうまい。本当にぶれないものを持っていて、真ん中にくるべき役者だ」と評する。「栄一と慶喜は離れてしまうが、栄一は近代日本を創り上げる中で慶喜を思い出す。なぜまた慶喜に気持ちが戻るのか。その瞬間を(脚本の)大森美香さんがどう描くのか。円四郎から何を受け取るのかなど今後が楽しみ」と期待を寄せた。