これで結婚したくなる! 家賃補助60万円、米、お茶も 婚姻2万7千件の埼玉 独自サービスあの手この手
今月はジューン・ブライド。6月の花嫁は幸せになれるとされる。厚生労働省が5日に発表した2023年の人口動態概況によると、全国の婚姻数は47万4717件で、埼玉県は2万7529件。婚姻率は全国も県も3・9%だった。近年、結婚の形はさまざま。婚姻届を出す場合も住居や本籍に関係なく提出できる。各自治体では、少子化対策、定住移住推進などの取り組みとして、結婚を機に若い世代に向けた独自のサービスを行っている。
■結婚助成金
結婚式の有無にかかわらず、何かと出費があるのが結婚。長引く不況下で「資金がたまらない」「引っ越し費用が大変」といった若い世代の声もある。結婚助成金(結婚新生活支援事業費補助金)は、内閣府が16年に開始した支援事業で、県内では秩父、熊谷、春日部、上尾などの市や小川、川島、横瀬などの町で実施されている。
夫婦ともに39歳以下で、2人の合計所得が500万円未満、申請する市(町)に3年以上居住する意思があることなど、自治体によって一定の条件はあるが、転居や住宅購入費、家賃などの一部を1世帯当たり上限30万円、夫婦のいずれもが29歳以下の場合は上限60万を補助する。
■無料で記念写真
婚姻届を受理する市役所や町村役場の窓口でもさまざまな工夫がある。さいたま市西区の区民課に婚姻届を提出すると1枚のチラシが渡される。区内のフォトスタジオで2人の記念写真をプロのカメラマンに無料で撮影してもらえるという案内だ。
3月に婚姻届を提出し、最近撮影した西区在住の会社員の女性(28)は「入籍の記念にこんなサービスがあるのは知らなかった。とてもうれしい」と喜ぶ。「スタジオコンフェッティ」(西区西大宮)の撮影コーディネーター大山久美子さんは「地域の方に何かできないかと区に提案した。入籍の思い出になれば」と話す。これまで年間約50組が利用している。
■オリジナル広報
本庄市では、1年以内に婚姻届、出生届、パートナーシップ宣誓証明書が交付された市民に、オリジナルの表紙をデザインした記念版「広報ほんじょう」をプレゼントしている。表紙にしたい写真データとメッセージを広報課の職員が入力、印刷所で製本された世界に一冊だけの「広報ほんじょう」が手元に届く。
担当者は「窓口でこんなのできるんですかと驚かれたり、お礼のメールを頂くことも。多くの人に喜んでもらえている」と話す。年間約60件の申し込みがあるという。
■花や農産物なども
鴻巣市は、婚姻届の提出で花の引換券(2千円分)と市名の由来になっている国の特別天然記念物コウノトリの名前を付けた「コウノトリ伝説米」1キロが贈られる。23年度の実績は152件。
ほかに所沢市は農産物の引換券、入間市、狭山市は煎茶と急須のセット、さいたま市、越谷市、戸田市などは記念樹をプレゼントしている。独自デザインの婚姻届を用意している自治体もある。いずれも事前に担当窓口に問い合わせを。